第10回 アメリカの制度、日本の制度



株式市場ではインターネット関連会社であるヤフーの急騰が話題を 呼んでいます。株式を店頭公開した1年半前には額面5万円の株券 が約200万円であったものが、最近では、その20倍以上の価格 である5、000万円前後で取り引きされています。標準的な額面で である50円に換算して、5万円であり、ソニーが1万2千円前後で あることから、その人気ぶりがうかがえると思います。何と会社設立 3年の企業の株式時価総額が約6千9百億円であり、自動社メーカで あるマツダをしのぐ会社価値を持っていると評価されているのです。 またベンチャー企業であるヤフーはストックオプションという 自社株を社員が優先的に購入するシステムを取っており、社員が 額面価格で一定の株数を購入できることから、多くの社員が億万長者 になると考えられています。

日本でもこのように店頭公開という株式市場の開放が進みつつありま すが、まだまだベンチャー企業立ち上げ時の資金提供システムを考え れば、整備されているとは必ずしも言えません。

ベンチャー企業を含む日本の中小企業は、中小企業基本法によって「 弱者」として手厚く保護されてきました。その枠組みでの中小企業金融 政策は、経営基盤の弱い中小企業を支えるために、低利で安定的な資金 を供給することが目的でした。しかしこの安定的という意味は、金融 機関および中小企業双方にとって安定していることです。すなわち、 中小企業が資金の供給を受けるためには、個人保証を行い、私財をす べて担保物権に設定する等の処置が必要なのです。しかし、これは資本 主義の原則から逸脱しています。資本主義経済とは、リスクを乗り越え て資金を供給することが可能でなければならないのです。特に資本主義の 具体化である株式経済においては、出資によって資金が供給され、出資者 は出資の範囲においてリスクを背負う、いわゆる有限責任制度が原則です。 実際には株式会社であっても、経営を行うための資金は金融機関からの 融資に頼っているのが現状です。出資(株式投資)においては、投資家の 保護という名目のもとで、様々な規制があり、ベンチャー企業が出資に よって資金を調達することは不可能なのです。これではベンチャー企業 などは起こすことができません。いくらリスクを伴うベンチャービジネス と言っても、失敗した場合に莫大な借財を個人が背負い、かつ失敗の 経験によって信用を落とすような社会風潮では、企業を起こすことに 消極的になるのは当然のことです。ましてや経験も浅く、未来のある 若者が起業家になることを放棄するのは必然的といえます。 そのような中、1995年に「中小企業の創造的事業活動の促進に関する 臨時処置法」、いわゆる「中小企業創造法」が施行され、今までの 「弱者救済」という概念から一歩出た支援策を取っているのは評価で きます。