第11回 続 アメリカの制度、日本の制度



不況下において、通称「パクリ屋」と呼ばれる取り込み詐欺に類する 経済犯罪が問題になっています。これは取引先から大量の商品を仕入れ、 決済が終了しないうちに倒産するものです。商品は第三者にわたって いますから、取引先が代金未納ということで被害に遭うわけです。この 倒産が計画的であれば詐欺として罪に問われます。このような犯罪を 防ぎ、中小あるいは個人の取引先を保護するために、会社組織の設立と 運営に関しては、様々な規制が取られています。例えば、資本金の規制 です。日本では株式会社の設立に最低1、000万円以上必要です。 アメリカでは州ごとによって異なりますが、その1/20以下で可能です。 意欲ある若者がベンチャー企業を起こそうにも簡単にできない理由の ひとつです。

アメリカでは行き渡ったインフラがベンチャービジネスを支えています。 例えば設備の行き届いたインキュベーションであり、高速なコンピュータ ネットワーク等です。大学の設備の開放は当然のこととして、民間企業の 設備も相応の対価を求めることによって開放しています。さらにSOHO と呼ばれる企業にとってかわる組織が、いわゆる「かゆいところに手が 届く」設備や機能、さらに情報を提供しています。日本ではSOHOを 「在宅勤務」と混同し、せいぜい「家庭でできるアルバイト」的な印象を 与えています。アメリカではSOHOは高度な技術もしくは情報を有する 専門職であり、ベンチャー企業を支えています。

昨年、アメリカがSOHOに関係する技術のために使った資金は500 億ドル以上になると考えられています。これは情報技術全体に対する 総額の25%前後になります。如何にアメリカがSOHOに期待して いるか、またSOHO自体がビジネスになるという確信を持っているか が、推し量れます。具体的にSOHOに注目している理由は、インター ネットおよびコンピュータに基づく技術が定着してきたことです。 これまで莫大な資本をかけた企業が行っていた、その存在意義でもあ る情報処理を行って事態を分析し、適切な方針を立てるという役目を、 SOHOはコンピュータとネットワークを使って行うことができるの です。特に企業のリストラが進み、SOHOに人材が流れると同時に、 大企業ではアウトソーシング(外請け)が促進されるという状況が 形成されているからです。このSOHOがベンチャー企業のアウト ソーシングを引き受けて支援しているのです。日本では、費用面に おいても適切なインフラだけでなく、新規に設立された企業である ベンチャーが依頼できるアウトソーシング先もないのです。