第13回 ベンチャー企業家にとって必要な素質とは



最近発表された(財)徳島経済研究所の雇用人員過不足調査によると、 人員過剰と考える会社が34%で前年より6%増加したということです。 つまり景気の停滞により、受注の減少が仕事量の現象を促し、人員過剰 感を煽っているのです。中高年社員に対して過剰感が特に顕著という ことでリストラの可能性も会社は示唆しています。他方、人材不足が 指摘されている分野もあります。例えば情報通信関係の技術者は 圧倒的に不足しています。産業構造の変化が必要とする人材の選別を 急激に進めているのです。極言すれば、「情報化」によって取って 変わられる仕事に携わっている人間は企業にとって不必要になって くるのです。逆に「情報化」によって生まれる仕事が多数あり、それに 対応できる人間は企業にとって必要となるのです。

ベンチャー企業にとって必要な人間、すなわち起業するに足る 能力や素質とはどのようなものなのでしょうか。ベンチャー企業に おいて必須である「夢やロマン」は、成功への戦略であると言えま す。確かな「夢やロマン」を描くことは容易なことではありません。 ではどのようなことがベンチャー企業を興す起業家に必要なのでし ょうか。私は多くのベンチャー起業家に接し、またその起業家から 聞いた話しを総合すると、「努力と根性」という非常に古典的な 考えにたどり着きます。この「努力と根性」を支えるものが「夢や ロマン」であり、「努力と根性」によってたどり寄せられた チャンスを花開かせるのが、「能力」であり「技術」であると 考えられます。能力や技術は学習によって磨くことができます。し かしながら一番大事なのは、「努力と根性」を発起させる起業する というアントレプレナーの精神です。これは社会環境や初等教育を 含めた教育という内容に立ち入ることになります。

今年4月入社の県内新入社員の意識調査(阿波銀行による)では、 約45%が定年まで現在の会社に勤めたいという希望をもち、逆に 転職や独立志向のものは約36%だそうです。おそらくアメリカで は入社早々、定年まで務めたいと希望するものは極少数であると 考えられます。この45%という数字は昨今の就職難を乗り越えて 入社したという安堵感と満足感の影響もあるでしょうが、やはり 高いと言わざる得ません。アメリカでは必ずしもすべての人が起業 を目指すわけではありませんが、高学歴になるほど起業を目指す割合が 多くなるようです。その道筋の典型としては就職してから数年後に、 MBA(経営学修士)で学び直し、さらに中規模の会社の管理職として 就職し、実績を積みながら、また幾つかの会社を転職しながら起業 する機会を待つという例です。最初の就職から十数年で起業する例が 多いようです。日本では高学歴になるほど安定した環境を選び、 起業という意識は最初からありません。また、変わりつつあるとは いえ、大部分が最初に入社した会社にしがみつき、また転職する 場合も、現在の環境(待遇)を改善するという意識のみからの 場合が多いようです。