ベンチャー企業に対しては徳島県が力を入れて支援しています。県 単位の投資額では全国一と聞いています。しかしその投資や助成金 の内容に関して、ベンチャー企業を育成するという意味でまったく 問題がないわけではありません。例えばベンチャー企業が一番資金 的に支援をしてほしいのは、その立ち上げ時です。その際の資金に 対して有効に使われてはいない部分があります。県としては回収の 必要があるゆえ、その成長性ではなく、現在の資産価値や評価で投資 を決めざる得ない公としての短所があります。また助成金に対しても、 その使用方法について枠組みをはめざる得ないのですが、従来からの 産業の枠組みでの発想では難しいところがあります。発想やアイデア に対する報酬を評価するのは難しいものですが、ソフトウエア開発を 含めて頭脳や能力に対して相応の対価を認める方向になることが望ま しいと考えます。もう一つの効果的な策はベンチャーインフラを整備 することです。しかもピンポイントに行うことが重要です。例えば、 東京と徳島で1本の大容量高速通信回線を援助するだけでも大きな 効果が期待できます。インキュベーション施設も完成してからベンチ ャー企業に利用や入居してもらうのではなく、極端に言えば、ベン チャー企業の要望を聞いてインキュベーション施設を作る方向も 考える必要もあるでしょう。
民間では社会意識の変革をもたらす基盤を作ることが望まれます。 とは言っても、「挑戦することを賛美し、敗者に対して再度、チャンス を与える」という意識や制度を作ることは簡単ではありません。徳島 では幸いなことにベンチャー起業家と呼べる先輩たちがおられます。 その先輩たちにそれぞれ私塾を開いてもらい、それぞれの発想で人を 育ててもらいます。もちろん、その私塾は社内限定でも構いません。 徳島ニュービジネス協議会は産官学の広い意味での交流では大きな 役目を担っています。しかしベンチャー企業は個人の創造性によって 作られるものです。創造性という意味では、個人は団体から受ける 影響よりも、個人から受ける影響のほうが強いでしょう。事実上、 アメリカでもショックレー(トランジスタの発明者)やロバート ノイスの影響を受けて、シリコンバレーのベンチャー起業家が 多数生まれました。是非とも真の意味のエンジェルとして次世代を 育ててほしいものです。
最後に大学です。大学としては人材を育成するという役割があり、 それについては、ベンチャービジネス関連の講義を行うこと、 企業と学生の接点を作る積極的な方策、たとえばインターンシップ を積極的に行おうとしています。しかしさらに期待される役割は 研究開発についての支援でしょう。大学には施設もさることながら、 各種の技術やアイデアが数多く眠っています。積極的に大学を理由 するべきなのです。また大学側では民間の活力を得て、さらなる 研究と教育の発展につくすのです。大学は門を開いています。そこ から我々は積極的に出て行こうとしています。逆に大学に足を運ぶ ことも重要ではないでしょうか。