第3回 続 ベンチャー企業は何を目指すのか
市場の創出はベンチャー企業が目指すものの一つです。景気が停滞
し、底を打ったという説もありますが、不況脱出に関して
特効薬となる対策は立てられない状態が続いています。国がベンチ
ャー企業の支援に躍起になっている理由は市場とその拡大における
雇用の創出を期待しているからなのです。アメリカでも当初、ベン
チャー企業の一番の効果は雇用創出であると言われていました。
しかしながら失業率が今年2月4.6%を超えた現在、これをベンチ
ャー企業の創出で埋め合わせることは早急過ぎます。ベンチャー
企業が成功への数々のステージを経て雇用を大量に創出するまでには
5年から10年とかかるものです。特に日本では、金融の護送船団方式
に代表されるように、「落ちこぼれを作らないかわりに、突出も
許さない」という制度になっている各種規制の緩和の問題が
残っています。昨年に弾けた金融ビックバンが縮退することなく、
金融のみならず通商、産業すべての分野で規制緩和、撤廃が進み、
名実ともの自由主義経済に移行できなければベンチャー企業の成功へ
の時間がかかるだけでなく、その起業自体も絵に描いた餅になって
しまうでしょう。
ベンチャー企業が一般の中小企業と異なる更なる点は、事業の社会
性に対する意識です。起業するからには当然のことながら、高い利潤、
すなわち起業家自身の高い収入を期待することでしょう。しかし、
ベンチャー企業を起し、それを成功に導くためには弛まざる努力、
つまり緊張感と試練に耐えなければなりません。しかもそれは10年
近く、あるいはそれ以上の期間です。利益の追求を目的とするだけで
は持続することはできず、成功へ導く前に挫折します。利益以外に
確固たる信念、つまり企業創造に対する理念が必要です。理念とは、
自己の考える正義であることから、通常、「自己実現(挑戦)」や
「社会貢献」という意識が支えることになります。