第6回 続 不況と好況時に注目されるベンチャービジネス



バブル崩壊と長期不況への入り口を通ってしまった1995年から 現在のいわゆるベンチャービジネスブームが始まりました。ベンチ ャービジネスのブームは景気の安定期には生まれません。過去が示 すように不況時と好況時に必然的に生まれてくるのです。好況時に は余剰資金の流入先を求めて生まれることが多く、大概の場合、景 気の推移によって消滅します。不況時には優秀な人材が停滞してい る大企業から輩出され、従来の殻を打ち破ったベンチャー 企業が生まれ出します。人材の供給源になっている大学や各種学校 からも、優秀な学生の中には大企業への就職を拒み、活力あるベン チャー企業に就職するものや起業するものも増加してきます。

その戦後最悪といわれる不況の中でのベンチャービジネスブームで す。しかし今回のベンチャービジネスブームはいろいろな点で過去と 異なります。まず一番大きな点は産官学をあげて支援しているという ことです。戦後はもちろんのこと、1970年代以降も若干の金融 緩和策はあったものの、どちらかと言えばベンチャービジネスに関し ては逆風でした。しかし今回は特に官側が積極的に動いています。

通産、郵政を始め各省庁が連係してベンチャービジネスを支援する 体制を取っているのです。徳島県でも通産省のベンチャー企業支援策 である「中小企業創造法」による税制や金融優遇策、県独自のいわゆる 「中核四分野」と呼ばれる資金助成があります。ではベンチャー企業 自体に注目するとどうでしょうか。必ずしも多くのベンチャー企業が 創出され、また活躍しているわけでもありません。もちろん、この 数年で、当然マイクロソフトのようになれなくても、ゼロから始めて 取り引きが数億円か数十億円、社員規模が100人前後に急成長した 企業はいくつもあります。しかし産官学あげてのベンチャー支援という ほどには立ち上がっていないのが現状です。徳島も例外ではありま せん。何が問題なのでしょうか。実はいくつもの問題があり前途多難 なのです。まず一つには支援の方法です。一般に支援の対象になるのは、 ある程度目途がたった事業あるいは企業です。これではベンチャーに なりません。また新規の企業や事業に対する支援でも、その事業に 対して正当に評価をしていないことが多いようです。さらに一つは情報 の不足です。ここでいう情報とは人材交流、技術習得、市場観測等を 含む広い意味です。それでもなお、産官学が「ベンチャー企業」と 連呼する理由は、現在の日本固有の経済システム、および産業構造の まま推移すれば、短期的な景気回復が見られたとしても、間違いなく 近い将来出口のない構造不況に陥ることが確約できるからなのです。