第8回 日本でなぜベンチャー起業が盛んにならないのか



日本は社会主義経済であり、真の意味で資本主義に基づく市場経済 にはなっていないのです。すなわち普く国民の一定水準の社会生活を 保証するという観点で、企業および消費者を国は保護してきました。 また、その保護のために数々の規制を設けて来ました。この結果、 確かに消費者の保護や企業、特に中小企業の倒産に関しては効果が あったことは事実です。しかしながら過度な保護や規制は企業の横 並びを促します。過去の幾つかの規制は公正取引上の取り締まりの 対象になっているカルテルと何ら差異はないという人もいるほどで す。言い換えると、落ちこぼれを出さないために、低いレベルでの 横並びを強制しているのが規制であると言えなくはないのです。基本 的に、個人が個人の能力を活かせるチャンスを数多く得られる、 いわゆる自由主義経済に移行する必要が出てきたのです。つまり差別 ではなく、チャンスを活かしたものへの区別(優遇策)とチャンスを 活かせなかったものへの復活(更なるチャンス)を保証する制度を 考える必要があるのです。

日本市場の閉鎖性とは国際貿易に関して言われることですが、これは 国内経済にも当てはまります。例えば、新規取引についても、製品の 善し悪しよりも、過去の取り引きでの付き合いを優先する傾向が あります。これは残念なことに、官公庁にその傾向が顕著です。また 近年、不況によるリストラ等で崩れつつあるとはいえ、終身雇用を 尊ぶ傾向も、労働力の市場閉鎖性につながります。国内においても 市場を開放する政策が必要です。

徳島でも積極的なベンチャー企業支援が行われています。その支援策に 望むことは、チャンスを与えることと、そのチャンスを生かす環境を 整備することです。特に後者に関しては、ベンチャー企業という将来 の投資に対して、即効性がないことを十分認識してのインフラ整備を 期待しています。またインキュベーション施設や実験設備等、必ずしも ベンチャー企業支援、特に育成に関しては現実にそぐわない面も少な からずあるようです。ベンチャー企業とは「独創性」と「独立性」を キーワードにチャレンジ精神を持って果敢に成功に挑む企業のことで す。それは支援する体制にも求められるのです。