アメリカのベンチャー企業を語るときに、必ず例にあげられるのが DECです。第二次世界大戦後、すぐにアメリカでは、新しい産業の 創出が少ないことを懸念して、新規産業および起業を支援するシス テムの構築を行いました。それがアメリカリサーチアンドデベロップ メント(ARD)であり、今で言うベンチャー企業に投資をし、かつ 資金回収するために、その企業を支援する金融企業です。このARDが 1957年にマサチューセッツ工科大学(MIT)の学生4人が作った会社 DECに7万ドルを投資し、14年後には5、000倍の3億5,000 万ドルの利益を上げました。つまり、14年後には貸した資金が5,000 倍になって戻ってきたわけです。このような金融企業をベンチャー キャピタルと呼び、将来成長が見込まれるベンチャー企業に投資し、 その投資資金が回収できるように、企業を支援します。アメリカでは このベンチャーキャピタルのシステムが非常に効率よく働いており、 ベンチャー企業への資金の還流がスムーズに行われています。
アメリカは資本主義経済であり、個人が自らの努力や能力によって、 利益を追求することは名実ともに正当化されています。いわゆる 正義であるわけです。その正義を保証するためには自由競争が基本で す。日本とは、この社会正義自体の意識が異なります。日本の社会正義 のキーワードは「平等」です。対してアメリカの社会正義は、「平等」 ではなく、「フェア」なことです。「フェア」とは、自由競争において 同一の条件で参加できることなのです。したがってアメリカでは、新しい 企業が仕事を始める場合、その仕事自体が優秀であれば受け入れられる ようになっています。日本では過去の経緯を尊び、如何に他に比べて 優秀な仕事をしようとも受け入れられません。日亜化学工業の小川信雄 会長が創業間もない時期に「アメリカに蛍光体の特許の使用を熱心に願い 出たら、使用権を全部与えてくれた」と言っています。フェアな交渉を すればチャンスが与えられるのです。