徳島県内50市町村ホームページ調査
平成14年9月3日
徳島大学工学部 知能情報工学科 教授 森井昌克
徳島大学大学院 工学研究科 学生 高木峰子
概要
本調査は徳島県内の50市町村が開設しているホームページ(HP)の内容に関して調査したものである。HPが開設されていない上板町を除く49市町村、および徳島中央広域連合のHPに対して調査を行っている。調査は平成14年3月において、予備調査として各HPの特色をまとめ、平成14年8月において、その結果とは独立に、インターネットを比較的利用する調査対象者22名(県内18名、県外4名)を対象に、内容に関する質問項目(16項目)に関して6段階による評価を実施し、その結果をもとに統計解析(多変量解析)を行い、各市町村のホームページ評価を行ったものである。
【質問項目】
質問項目は以下の16項目であり、0点から5点の6段階で評価している。各評価者には、質問事項に関して、質問が明確およびできるだけ共通の認識となるように説明を与えている。
@メインページに至るまでの表示速度にストレスを感じないか?
Aメインページ(表紙)の第一印象
B使いやすさ
C情報量の多さ
D情報の検索容易さ
E電子的な対応
Fインタラクティブ性に優れている
GHPおよび内容の更新の頻繁さ
Hその市町村住民への便利度
I市町村住民以外への便利度
J市町村の代表的機関へのアクセスマップ、連絡方法
K高齢者、身障者への配慮
L市町村の特色の主張
M他の自治体ホームページとの差別化
N携帯電話端末への適合
O総合評価
【結果概要】
各評価者のデータの標準化、各質問項目間の相関係数、各項目を従属変数としたときの重回帰分析、および因子分析等を行って、各市町村のHPの内容を評価するとともに、HPを利用するものの傾向を分析した。
総合評価として、鳴門市、三好町、由岐町、徳島市、西祖谷山村、日和佐町、北島町が上位に位置する結果となった。
また、各評価者毎の評価の分析から、市町村HPの評価基準として、@有用性(役に立つ)、A便利さ(使いやすさ)、B地域およびHPの特色が、因子分析によって抽出されている。特に総合評価に対して大きく寄与する基準は、便利さ(使いやすさ)となっている。各評価基準毎の順位を、その因子得点によって順位付けすると、その上位は
@ 有用性: 羽ノ浦町、由岐町、上那須町、鳴門市、北島町、徳島市、海部町
A 便利さ: 三好町、鳴門市、徳島市、勝浦町、西祖谷山村、阿波町、池田町
B 特色: 日和佐町、鳴門市、西祖谷山村、木屋平村、由岐町、木沢村、鷲敷町
である。@の有用性においての羽ノ浦町は、住民相互の掲示板の利用、およびメールでの役所の各部署への対応、由岐町は役所の各部署毎の詳細な連絡や報告、公共施設の予約等が評価されている。Aの便利さにおいては、三好町の情報量の多さと、その利用や検索が容易なこと、日々のページの更新、携帯電話の利用が評価されている。Bの特色では、日和佐町が他の市町村とのHPを含む様々な相違点を強く主張していること、県内へのアピール度が評価されている。また西祖谷山村も観光を大きき意識し、県外にアピールしていることが評価されている。
逆に総合評価が低い市町村は、美郷村、半田町、穴吹町、板野町、市場町 である。これらの市町村に概して言えることは、情報の更新がない上に、単なる市町村の紹介に終っており、一方的な情報伝達となっていて、情報化がコミュニケーションの実現であるという本質をまったく理解していないことである。
全体的な評価として、数年前に比較して、ホームページを重視する傾向にあるものの、さらに市町村間の格差が広がっている。また、携帯電話でのインターネット利用が一般化しているものの、それに十分対応している市町村は少ない。さらに問題点として、高齢者や身体障害者に対して考慮したHPを作成している市町村がまったくないことである。