森井教授のインターネット講座 最新版(2000年7月23日掲載記事)



第180回 小泉内閣メールマガジンの読み方


解説イメージ

小泉内閣メールマガジンが6月14日に創刊され、毎週の発行を重ね て、すでに第6号、創刊準備号を合わせると7通にわたって公開され ています。7月に入ってから、購読者はすでに200万人を超え、 首相官邸のホームページからも読めることを考えると数多くの国民 が政治に関心を持っている、あるいは関心を示すことに役立ってい ると言えるでしょう。現在の内容は、主として小泉首相の随想と、 毎週、一人もしくは二人の大臣による考え方や政策に取り組む姿勢 をわかりやすい言葉で書いた記事となっています。またこのメール マガジンの編集長である安倍晋三内閣官房副長官の「あとがき」は、 その裏方作業やメールマガジンの影響等について書かれることも多 く、興味深い内容になっています。

第5号での特別企画として、このメールマガジンの読者の傾向が書か れています。メールマガジンではほぼ統計値を書いているだけですが、 ここで若干の分析をしてみましょう。7月5日現在で、登録者数は211 万人です。総務省の調査によると、インターネット人口は3,700万人 だそうですから、約5.7%ということになります。インターネット人 口に比例して、やや少なく感じるのは携帯電話でのインターネット 利用者も、インターネット人口に含まれているからです。携帯電話 のみでのインターネット利用者を除くと、利用率は10%程度にな るかも知れません。登録者は男性が圧倒的に多く(68%)、イン ターネット人口に占める男性の割合が若干多いことを差し引いても、 有為差が出ているようです。まだ幾分女性の政治への関心は高くな いのかも知れません。年齢別には30代が31%と一番多く、次に 20代の26%と続きます。20代から40代で約80%の人を占 めますが、70代以上で2万人以上の人が登録しています。インタ ーネットをはじめとするパソコンやハイテク機器の取り扱いは高齢 者にとって難しいと言われながらも、70代以上で2万人以上、6 0代以上では11万人以上の人がメールマガジンを読んでことにな ります。この数字は、パソコンやハイテク機器の扱いが容易になっ たと解釈するよりも、より高齢者にとって必要性が認識されてきた と読み取るべきでしょう。都道府県別の購読者数も紹介されていま す。人数では、東京、神奈川、大阪、埼玉、千葉と人口を多く抱え る都道府県が上位を占めます。これは当然の結果と言えなくはない のですが、実際の都道府県別人口に占める購読者数の比で、順位を つけた場合もほとんど同じ順位となるのです。このことは、ますま す都道府県間のデジタルデバイド(情報格差)が進んでいることを 意味しています。大都市圏ではインターネットを理解し、ますます 利用する機会が増えているのに対して、地方ではますます疎遠にな っていることを表しています。現実の社会(リアルワールド)での 格差が、サーバースペース(インターネット社会)での格差を生み 出しているのです。


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