森井教授のインターネット講座 最新版(2002年3月11日掲載記事)



第200回 誕生日の問題


解説イメージ

小泉内閣の支持率の激減が話題となっています。各報道機関等が独 自に調査し、その値を出しているため、同じ時期の支持率でも、発 表する機関が異なると値も若干異なります。その調査とは、高々、 1000人前後の人を無作為に選んで、支持するか否かを回答して 得られた結果に基づいています。1億人近くの有権者がいるにも関 わらず、たった1000人足らずの調査で、わが国全体の内閣支持 率を与えるのは不思議な気もしなくはないでしょう。しかし、この ような調査でほぼ正確な支持率を得られることが統計とか確率とい う数学の上で証明されているのです。

第200回を迎えた今回は趣きを変えて、この統計や確率の身近な話題 を提供しましょう。

先般、偶然にマジックだか超能力を扱ったテレビ番組を見る機会が あり、会場にいた数百人の中から何人かを選んで、同じ誕生日の人 を見つけるという能力を披露していました。もちろん、その能力を 持つと言われる人は来場者の誕生日を知りません。その人が20人 ほどを選ぶと、誕生日を同じ日に持つ人がいるというのです。テレ ビを見ていると、目隠しをしたその超能力者と言われる人が、客席 を指差して、20人ほどを指し示しました。選び終わった後、その20 人ほどが一人一人、誕生日を言うと、確かに同じ誕生日の人が一組 いるのでした。拍手と共に番組が終ったわけですが、これは誰にで も真似の出来るトリックがあるのです。もちろん、あらかじめ誕生 日を知っているというような単純なトリックではなく、数学という トリックなのです。実は誰がやっても同じことが出来るのです。つ まり、誰が、どの20人を選んでも同じ誕生日を持つ人が選ばれる 確率が、通常の感覚で思われているよりも高いのです。この問題は 「誕生日の問題」と言って、「確率」という数学の分野では、よく 取り上げられる問題です。詳細は省きますが、20人集めれば、そ の中で互いに同じ誕生日を持つ人が少なくとも一組存在する確率は、 0.42程度になり、コインの表裏を当てるのと同じ程度の確率で 成功するのです。ですから、誰でもが、数回、同じように20人を 選べばほぼ成功することになるのです。ちなみに私の誕生日は10 月20日ですが、同じ誕生日の人はいますか?


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