森井教授のインターネット講座 最新版(2002年4月22日掲載記事)



第202回 電子投票


解説イメージ

4月28日に出直しとなる徳島県知事選挙が行われます。自治体や国 政での選挙で思い浮かぶのは、公民館や学校での投票用紙に記名し、 投票箱に入れる風景や体育館などでの大掛かりな開票風景です。多 くの投票用紙が机の上に積み上げられたり、箱に入れられたりしな がら、大勢の人が一票一票を数えていき、得票結果が逐次的に発表 され、候補者やその支援者の一喜一憂する様がテレビ等で映し出さ れます。

その選挙風景が一変するかもしれません。電子投票が全国的に行わ れるようになるのです。政府はまず、国政選挙に比較して、比較的 小規模な自治体における選挙で行う方針です。そのための法律改正 も行われ、全国初の電子投票が6月23日に岡山県新見市の市長、市議 同日選挙で行われる予定です。

電子投票とは、投票行為や開票作業の一部をコンピューターやネッ トワークを利用して行う方式です。投票においては、今までの筆記 用具を使って、投票用紙に候補者の名前を書く方式ではなく、銀行 のATM(現金自動支払機)のような装置を使って、画面に候補者の名 前を表示し、それに触れることによって投票を行います。その結果 はコンピューターで自動的に集計され、投票が締め切られると同時 に一瞬にして結果が表示されます。この電子投票の一番の効用は、 開票や集計作業に伴う人件費の削減です。通常、開票や集計は休日 や深夜の時間帯に行われ、多くの人手による作業が必要となります。 その人件費は多額になります。また、その開票作業を見守る選挙管 理人だけでなく、候補者およびその支援者等が拘束される時間も無 視できません。電子投票ではこれらの作業が大幅に削減できるので す。

しかし電子投票にも様々な問題点があり、それを解決すべき工夫が なされています。まずは投票者に対する操作性です。銀行のATMでも 戸惑う人がいるのと同様、実際の選挙での使用時にも戸惑う人が多 く出てくることが予想されます。簡易な操作性を持ち、また音声等 も多用してわかりやすく説明を受けながら投票できるようなシステム でなければなりません。また、二重投票や誤投票を防ぐ手段も講じ なければなりません。もちろん、投票結果の改ざん等を防ぐセキュ リティも大事です。


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