森井教授のインターネット講座 最新版(2002年5月27日掲載記事)



第205回 IP携帯電話の可能性


解説イメージ

国民の2人に一人は携帯電話を持つ時代になり、従来の電話は固定 電話と呼ばれるようになりました。固定電話もこの数年で大きく変 わりました。利用者から見るとまったく変わらないように見えます が、インターネットの技術を利用するようになったのです。固定電 話をかけようとすると、特定の相手に音声データを送る役割を担う 交換機につながります。交換機は近くの電話局に設置されています。 この交換機が相手の固定電話の近くにある交換機を探し出し、電話 をつなぐのです。インターネット電話と呼ばれているサービスは、 この交換機の部分をインターネットに置き換えるサービスです。つ まり、普通の固定電話のように、まず近くの電話局の交換機へ自動 的につなぐのではなく、近くのインターネットのゲートウェイ(窓 口)につなぎます。ゲートウエイはインターネットプロバイダーで あったり、専門のサービス会社であったりします。交換機と交換機 の間をインターネットに置き換えるのです。電話の音声の信号をイ ンターネットで送れるデータに変換し、受け側のゲートウェイで、 元の音声の信号に戻して相手の電話機につなぐのです。インターネ ット電話のサービスが始められた当初は、音声が途切れたり、遅れ て聞こえたりと欠点が大きく指摘されましたが、現在は技術の進歩 により、通常の電話とほとんど同じような音声品質でサービスでき るようになりました。格安の国際電話は、ほとんどインターネット 電話なのです。国内の長距離電話でも格安でサービスすることがで きるようになりました。

携帯電話の仕組みも固定電話とほぼ同じで、固定電話と同じ交換機 が相手の携帯電話とつないでいるのです。異なるところは、基地局 という無線局があって、携帯電話と基地局の間だけ無線を使ってデ ータを送っているのです。基地局と基地局の間には交換機があり、 固定電話と同じ仕組みです。では、インターネット電話と同じよう に基地局と基地局の間をインターネットで接続することが考えられ ます。これをIP携帯電話といい、これからサービスが始まろうとし ています。特に、大規模な基地局のような設備を使わず、現在、流 行しつつある、「無線LAN」を使って、基地局の代わりとなる無線ル ータ(インターネットの接続装置)につなぎ、そこからインターネ ットを通して相手につなぐ新しい携帯電話のシステムが考えられて います。月額固定の低料金で、使い放題の携帯電話が近い将来出現 してくるかもしれません。


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