森井教授のインターネット講座 最新版(2002年6月3日掲載記事)



第206回 個人情報の危険度(上)


解説イメージ

今、「個人情報保護法案」が大きな話題になっています。報道規制 の問題にも抵触する可能性があり、新聞、雑誌、放送といったメデ ィアに取って、無視できない大きな問題だからです。本来、この法 案の主旨は、企業、組織、団体等が有している個人の情報を守るた めのものです。個人を相手にしている企業や組織は、その活動のた めに、個人の情報を収集しています。名前や住所、性別、年齢、そ れに趣味等です。家族構成や年収、学歴や職歴まで収集することが あります。どのようにして収集しているのか不思議な方もおられる でしょう。実は、皆さんが積極的に情報の収集に協力しているので す。もちろん、直接的に企業からの問い合わせやアンケートには応 えていないでしょう。例えば、景品の応募や、ポイントカードの登 録時にいろいろな項目に対して回答を送ります。それが集まって個 人情報になるのです。この個人情報の利用に関して、公の規制があ りませんでした。特に個人の情報が、その本人の許可なく、企業間、 組織間でやり取りされ、不本意な利用が行われる可能性があったの です。それだけではなく、必ずしも正確でない情報が、その個人の 預かり知らぬところで一人歩きをし、その個人の評価を形作ってし まうことがありました。個人情報保護法を一言で言うと、個人が自 分の情報を、それがたとえ、その個人以外の第三者が収集、作成し たとしても、その個人が制御できる権利を与えたのです。つまり、 不本意な情報の削除を求めたり、利用を禁止したりすることができ るようにしたのです。

インターネットはこの個人情報に関して密接な関係があります。第 一に、インターネットは個人情報を収集する大きな手段であるいう ことです。多くの人がインターネットを使って、様々なサービスを 受けるようになりました。インターネットショッピングを始め、交 通機関や宿泊の予約、イベントへの参加登録や懸賞への応募等です。 これらはすべて個人情報として収集整理されて企業の資産となるの です。特にインターネットでは、それをどのように使ったかという ことを細かく記録することができます。つまり、顧客一人一人の動 向が手にとるようにわかるのです。インターネットショッピングな らば、最終的に何を購入したかだけではなく、そのホームページを どれだけの時間閲覧したか、何をクリックしたか、それはいつだっ たのかを記録することにより、分析、解析して、その個人の消費動 向を推し量ることができるのです。これは非常に重要な個人情報な のです。


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