森井教授のインターネット講座 最新版(2003年9月15日掲載記事)



第243回 コンピューターウイルス再び(中)


解説イメージ

MSブラストやウエルチといった新型のウイルスの被害が少し落ち着 きつつあるのですが、それ以降も新しいセキュリティホールの発見 と報告がいくつもなされています。特に誰もが使っているウィンド ウズなどのOSと呼ばれるプログラムのセキュリティホールは深刻で あり、MSブラストもOSのセキュリティホールを利用したウイルスで した。現在の、特にネットワークを利用するプログラム(ソフトウ エア)にはセキュリティホールの存在が少なくなく、そのプログラ ムを提供している組織、企業からの情報を定期的に確認して、逐次、 チェックする必要があるのです。セキュリティホールが発見されれ ば、その提供元の企業、組織から、かならず「パッチ」と呼ばれる 不具合を修正するソフトが配布されます。通常、そのソフトを実行 するだけで、セキュリティホールへの対策が自動的になされます。 MSブラスト以降、最近になっても、深刻なOSのセキュリティホール が発見されています。毎日とは言いませんが、定期的に、例えば マイクロソフト のセキュリティページ を確認し、指示に従うようにすることを勧めます。

ところで、原点に戻って、コンピューターやネットワークに悪影響 を及ぼすプログラムをなぜ、ウイルスと呼ぶのでしょうか。それは インフルエンザなどの病原体としてのウイルスの性質と同じ特徴を 持つからなのです。その特徴とは感染することです。そして、その 感染する仕組みがインフルエンザなどのウイルスと同じなのです。 病原体ウイルス自体は動き回ることが出来ず、手などに付着したウ イルスが接触することによって、他の人に感染していくのです。コ ンピューターのウイルスも、それ自体は動き回る、すなわち他のコ ンピューターに移っていくことは出来ないのですが、病原体ウイル スと同様、移動する別なものに付着して移っていくのです。コンピ ューターの場合はプログラムなのです。よく利用するプログラムに 付着して移っていくのです。最近では、メールに付着して感染する 場合が多いようです。メール自体に付着するのではなく、添付ファ イルというプログラムとして感染していくのです。添付ファイルと いうプログラムを実行しない限り感染はしないのです。実はMSブラ ストは正確にはウイルスではありません。なぜならば、MSブラスト は別なプログラムに付着して感染するのではなく、MSブラスト自体 が移動して感染していくからです。ネットワークに接続しているだ けで感染する可能性があります。このように自分自身で動き回るこ とが出来る悪意のあるプログラムを「ワーム」と言います。MSブラ ストは感染すると、セキュリティホールのある他のコンピューター を探し回って感染範囲を広げ、コンピューターを急に止めたり、特 定のサイトにアクセスを頻繁に行ったりします。特に電話等のダイ ヤルアップ方式でインターネットに接続している場合は、つながっ たまま放置される可能性があり、後に多額の電話代を請求されるこ とが問題になっています。プログラム自体が他のコンピューターに 侵入しようと試みることから、もはや従来のウイルス被害といった 問題を超えて、「不正アクセス」というサイバーテロに準ずる問題 なのです。


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