森井教授のインターネット講座 最新版(2004年2月2日掲載記事)



第252回 これからどうなる?携帯電話(下)


解説イメージ

前回、携帯電話が、その本来の機能であった音声を伝えることから、 画像を扱う機能に重点が移ってきたと書きました。そして、画像だ けではなく、あらゆる情報、特に個人に関わるあらゆる情報を扱う 方向にあるとまとめました。携帯電話は、その開発当初の一つの目 標が「パーソナルコミュニケーション」だったのです。パーソナル コミュニケーションとは、個人を中心とした、個人間、そして個人 と組織、団体との情報交換を指します。従来の電話は、家庭や組織 を単位にしており、必ずしも個人を代表していませんでした。携帯 電話は一人一人に対して、きめ細かいサービスができるようになっ たのです。今、携帯電話が音声だけでなく、画像を含むすべての情 報を、個人が中心となって扱うための必須の道具となりつつあるの です。

さらに、情報交換だけでなく、情報を仲介、そして処理して、個人 の生活を助ける機械に携帯電話はなろうとしています。メールやカ メラ以外の携帯電話の利用法として、多くの人が、その時計の機能 を利用しているそうです。腕時計ならぬ携帯時計として携帯電話を 利用し、さらに目覚まし時計として利用している人が多数いるとの ことです。携帯電話に通話やメール相手の電話番号、メールアドレ スを記録することと合わせて、相手の住所や勤務先等の個人情報も 書きとめ、アドレス帳として利用することも普通になりました。数 年前の携帯電話と比較して、文字を入れる入力方法も改善され、簡 単に早く入力できるようになりました。合わせて画面自体の大きさ はさほど変わりませんが、解像度、つまり画面がきめ細かくなり、 小さな文字を数多く表示させることも可能になりました。画面に多 くの情報を表示できることから、パソコンと同等の使い方ができる ようになったのです。手帳に変わる、スケジューラーやメモ帳とし て携帯電話を使う人も増えました。確実に、ありとあらゆる情報を 扱って、携帯電話からPDA(パーソナルデジタルアシスタンス)、 つまり文字通り、デジタル(情報)で個人を助ける機械になろうと しているのです。そして今年、携帯電話を財布として利用するサー ビスが始まります。JR東日本で利用されているSuica(スイカ) や電子マネーとして広がりつつあるEdy(エディ)と同様の方式 で、携帯電話を操作するだけでお金のやり取りが出来るようになる のです。また携帯電話本来のインターネットでの情報交換機能を用 いて、遠く離れたところにもお金を送ることができるようになりま す。携帯電話を利用した銀行振り込み等といったモバイルバンキン グ機能と合わせて、個人専用の銀行の窓口が携帯電話で実現しよう としています。今年はその元年になることでしょう。


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