携帯電話がますます「電話」から離れていきます。もともと電話と は、音声での通話を行う機械でした。しかし、今の携帯電話は必ず しも音声通話が主ではなくなっているのです。特に学生の通話料金 では、音声通話の料金よりも、パケット料金と呼ばれる非音声通話 の料金が、一般に多くなっていることが報告されています。携帯電 話は音声通話を行う機械から、情報を交換、そして処理する機械に なっているのです。携帯電話を握り締める人の姿がめずらしくなく なりましたが、その光景は携帯電話を耳に当てるのではなく、手の 平にある携帯電話を眺めるようになったのです。
まず携帯電話は音声から画像を扱う機械に変わろうとしています。 カメラ付き携帯電話が数年前に、一部の携帯電話会社、一部の機種 に搭載されてから、昨年にはほとんどの携帯電話会社の販売の中心 となる機種に搭載され、その機能が一段と強化されました。携帯電 話の付録であったデジタルカメラが、音声通話と同等の主力となる 機能になったのです。最初は携帯電話の小さな画面に映し出すだけ のカメラが、現在では通常のデジタルカメラに勝るとも劣らない画 質で撮影できるのです。今年中には、「光学ズーム」と呼ばれる高 画質でのズーム機能が搭載された携帯電話も出現し、ますますデジ タルカメラとの競合が激しさを増すことでしょう。カメラが映像を 撮る機能の代表であれば、映像を提供する側の代表がテレビです。 昨年にはテレビを見れる携帯電話が発売されました。この機能は 携帯電話にとってカメラと同等以上に重要性を増すことでしょう。 テレビ自体が、地上波デジタル放送を始め、インターネットに近づ く方向にあり、パソコンでテレビを見、そして録画することが普通 になった今、携帯電話がインターネットを利用する際の最も用いら れている端末であることから、携帯電話でテレビを見れることは必 然の流れなのです。さらにそのテレビ番組を録画できる機能も搭載 できることでしょう。ハードディスク付DVDレコーダーがテープ方 式のビデオレコーダーを駆逐し、家電製品の目玉になっています。 この録画機能が携帯電話に搭載されるのです。つまり、ハードディ スクが携帯電話に内蔵され、デジタルカメラの画像や映像を含めて、 テレビの映像も長時間記録できるようになります。携帯電話の画面 専用の映像であれば、1円玉程度の大きさのハードディスクで、丸一 日分のテレビ番組を録画することも可能になっています。