先ほど、徳島大学工学部(徳島市南常三島町)に「科学体験フェス ティバル」という催しが行われました。これは徳島大学工学部を中 心として、民間企業や地元の小中高等学校の協力で、主に小中学生 以下の子供達に科学技術の面白さや私達の生活との密接な関わりを 紹介しようとするものです。徳島大学の目的としては、県内唯一の 理工系国立大学の地域貢献ですが、それ以外に子供達の深刻な「理 数離れ」があります。勉強嫌いの代名詞として算数や数学が取りあ げられ、数学での「因数分解」は、さも実生活では役に立たないこ とを教える象徴として扱われています。しかし、それら算数や数学、 さらに物理や化学等が基となって、現在の科学技術が成立している のです。その科学技術は決して私達の実生活から離れたものではな く、今ではなくてはならないものが多くなっています。携帯電話、 DVD、衛星放送、インターネット、それに今ではどのような電気 製品にもマイコンと呼ばれるコンピューターが搭載されています。
子供達の「理数離れ」は、この科学技術の発達にとって非常に問題 となるのです。特に資源を持たない国である日本にとって、科学技 術という知的資源の枯渇は、国はもとより国民生活に大きな影響を 及ぼし、確実に没落へと向かうことでしょう。40年前から10年 前にかけての高度成長期には、産業革命の最後の波に乗り、加工貿 易の名のもと、大量生産と貿易によって隆盛を極めました。IT革 命の21世紀は科学技術に基づく知的資源(財産)がその要となる でしょう。将来にその知的財産を作り出す原資が子供達なのです。
子供達が「理数離れ」を起こす原因の一つが実際の生活とかけ離れ た、現実味を帯びない学問(教科)として扱われることです。「 科学体験フェスティバル」は理数系の教科が、私達の実生活と密接 に関わっていることを、文字通り体験させてくれる催しなのです。