森井教授のインターネット講座 最新版(2000年7月22日掲載記事)



第147回 衛星ディジタル放送


解説イメージ

今年12月から衛星ディジタル放送が始まります。では、ディジタル 放送とはどういうものでしょうか。現行のテレビ放送とどこが違う のでしょうか。放送局にとっても、我々視聴者にとっても新しい設 備が必要なディジタル放送になぜ今、移行しなければならないので しょうか。

現在、通常のテレビ放送はアナログ放送です。BSと呼ばれる衛星放 送もアナログ放送ですが、CSと呼ばれる衛星多チャンネル放送は既 にディジタル放送となっています。テレビ放送でのディジタルとア ナログの違いについて説明しましょう。それは送る情報(信号)の 違いなのです。例えば、放送局が赤い色を送りたいとします。赤い 色と言っても、どれぐらい赤いのか(色調)という情報と明るさ (輝度)が必要です。アナログの場合、この色調と輝度を正確に電 波に載せて送るのです。対してディジタルでは、この色調と輝度を 例えば10段階に設定して、この10段階のいずれかという情報を 電波に載せて送るわけです。アナログのほうが細かい情報を電波に 載せていますから優れているように思えます。実は、細かい情報を いくらでも電波に載せられるわけではなく、また受信側では、載せ られた細かい情報を必ず取り出せるわけではないのです。さらに電 波には雑音というものが混ざります。アナログの場合、雑音の影響 が非常に大きく、細かい情報は消されてしまうのです。ディジタル では、最初から細かい情報を電波に載せることをあきらめる代りに、 確実に情報のやり取りを行うわけです。言わば、正確さを追求する あまりに装置が難しくなり、またその正確さを引き出すには高価な 装置が必要なアナログに対して、最初から取り出せもしない細かい 情報、すなわち無駄を省いて、確実さを追及し、同時に装置化等を 簡単化する方式がディジタルなのです。

今では放送局内のほとんどの機器、特に映像の記録や編集装置はデ ィジタル機器となっています。ディジタルで作成、編集した番組を わざわざアナログに直して放送していることになります。このこと からもディジタル放送の必然性がおわかりになるでしょう。さらに ディジタル化の利点は放送以外の情報も同じように電波に載せられ ることです。放送以外のデータとは、例えばインターネットのホー ムページやコンピュータのプログラム等です。テレビ番組の中のゲ ームに直接参加したりすることができるようになるのです。しかし 放送のディジタル化で最も大きな利点は、周波数の有効利用という ことです。この点については次回説明しましょう。


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