現在、政府による来年度予算の審議が行われています。わが国自体 は、企業に例えると膨大な借金を背負っての赤字経営が続いていま す。したがって、支出を押さえる緊縮財政をめざし公共事業等の見 なおしが行われようとしています。その状況の中で、情報通信、い わゆるIT関連のインフラ整備や事業については、日本の将来を左 右するという認識から、積極的な投資が行われようとしています。 「日本新生特別枠」という名前が表すように、わが国が現在の停滞 を脱却し、新しく生まれ変わるために必要な事業なのです。
IT関連の投資は政府だけでなく、企業や個人もその効果が明らか になるにつれて積極的に行われるようになるでしょう。その際の問 題となるのが、「デジタルデバイド」と呼ばれる情報格差です。情 報格差の意味は、コンピューターやインターネットの恩恵に与かる ことのできない不平等な環境格差のことです。この格差はいろいろ な枠組みで問題となります。まずは地球規模での格差です。20世 紀後半において、「南北問題」という主に工業生産額の大小による 格差が生まれました。富める国と貧する国という格差です。北半球 に比べて南半球に多くの発展途上国が存在することから付けられた 名前です。現在、IT革命が産業革命による資本蓄積の上に成り立 とうとしています。すなわち、南北問題での国における貧富の差が ますます広がろうとしているのです。これを地球規模のデジタルデ バイドと呼んで南北問題を含めた新たなる国際間格差として問題視 されだしたのです。しかし、このデジタルデバイドは今までの工業 先進国の枠組みも変えつつあります。例えば北欧の国々は、生活水 準こそ低くない評価を得てましたが、決して工業先進国としての高 い国力の評価を得ていたわけではありませんでいた。しかし、現在 ではインターネットの普及率は日本をはるかに上回り、携帯電話を 含むモバイル通信では、フィンランドのノキア、スウェーデンには エリクソンという世界屈指の企業をそろえ、IT革命の牽引国とし て評価されるだけでなく、国際的にも大きな影響力を行使しつつあ るのです。21世紀の国毎の政策によっては、主要国間でもデジタ ルデバイドが進む可能性は少なくないのです。