「インターネット講習券」の実施が見送られました。これは政府に よって、一定の成人に対してインターネットやパソコンの基本操作 の講習を受ける費用の半額を補助しようというものです。経済対策 として捉えると、この制度は必ずしも即効性がないことから見送ら れたようです。しかし、明治維新以来の高い日本の国力の原因が、 国民普くに施した一定水準以上の教育にあったことは広く認められ ています。「インターネット講習券」構想は、いわゆる昔に言われ た「読み、書き、そろばん」に加えて、それを総括する「デジタル」 という新たな枠組みの教育を施すことにあったのです。
江戸時代以前、読み書きそろばんを得ていた一部の人間が多くの機 会に恵まれ、実際、社会において活躍をする場を与えられました。 21世紀は「デジタル」と呼ばれる情報技術が、それにとって代ると 見られています。「デジタル」を使いこなすものが、新たな機会に 数多く遭遇することになると考えられています。読み書きそろばん に代表される教育の均等化は明治維新政府の一つの指針でした。IT 革命が唱えられている今、その陰の部分として、「デジタルデバイ ド」という情報格差の解消が問題視されつつあります。私達に直接 関係の有るデジタルデバイドの問題としては、地方と中央との格差、 そして高齢者や身障者を交えた個人の間での格差です。インターネ ットが認知され始めた当初、「情報通信技術は中央と地方の格差を なくす」と言われました。しかし実際は、そのインターネット技術 を支えるインフラ部分が中央では整備され、地方では取り残されて います。例えば、ADSL等の新しいサービスはすべて中央から始めら れ、地方はその恩恵に与かれません。また自治体の取り組みも必ず しも地方と中央では同じとは言えないようです。特に次世代を担う 子供達に対しては名目だけでなく実質的にも中央に負けないITに関 する環境を整え、教育を行う必要があります。個人の格差は更に深 刻です。これから21世紀を向かえようとする人達にとっても機会は 平等に与えなければならないのです。ITの波は急速に訪れており、 このデジタルデバイドの問題は将来の問題ではなく、現在の問題な のです。