森井教授のインターネット講座 最新版(2000年10月28日掲載記事)



第156回 MDLP


解説イメージ

いつのまにか音楽を聴く方法が増えています。昔、生演奏以外では、 レコードやカセットテープを用いて聴いていた方法が、今ではCDや MD、それにDVDやICメモリを使った携帯プレーヤー等と幅広くなって きています。TPO(時間、場所、場合)に応じて使いこなすことに るのでしょう。ICメモリ携帯プレイヤーは、数十グラムという軽量 に加えて、振動に非常に強いと言う利点があります。MDが最近まで 携帯型の主流でした。しかしMDはディスクと呼ばれる円盤を高速に 回転制御する必要があります。このために精密な機械部品が必要に なり、それを微妙に制御することから振動に弱くなるのです。ICメ モリ携帯プレイヤーでは、0と1のデジタルデータを、そのままIC メモリに記録し、何も回転させたり動かしたりすることなく、読み 取ることができます。いわゆる回転等の制御をする駆動部分がない ことから振動に強いのです。

MDもCDも円盤の上にデータを記録する方式です。また共に円盤にレ ーザー光線を当ててデータを記録、再生(読み取り)する方式です。 では、MDは記録も再生もできるのに対して、通常のCDは再生ができ ても記録することはできません。MDはミニディスクの略称ですが、 CDを単に小さくしたものではないのです。どこに違いがあるのでし ょうか。CDは円盤の表面に小さなくぼみを刻んでデータを記録しま す。例えばくぼみの部分を0、くぼみのない部分を1として記録す るのです。そのくぼみにレーザー光線を当てて、反射してくる光に よってくぼんでいる部分かそうでない部分かを判別して、再生する わけです。MDもレーザー光線を使うのですが、使い方が異なるので す。MDでは「光磁気記録」という方式が使われています。円盤にく ぼみをつけるのではなく、円盤の表面の磁性体、つまり極細かい磁 石の粒子を磁化するのです。磁化とは磁石のNとSの向きを変えるこ とと考えてください。FD(フロッピーディスク)も円盤の上に塗っ た磁性体を利用しています。MDとの違いは、FDに比べて超高密度、 大容量にするために特殊な磁性体を用いるのです。この磁性体を磁 化するためにレーザー光線が必要になるのです。つまりレーザー光 線を局所的に当てて、温度を上げ、その部分の磁極を変えるのです。 再生する場合は、やはり弱いレーザー光線を当てて、その反射光の 特性から磁極の向きを解析し、信号を読み取るのです。

最近、MDLPという語が聞かれる様になりました。MDでは最高、80分 の録音時間だったものが、同等の音質で160分、あるいは少し音 質を落して320分、録音再生できる方式です。これは記録再生する信 号自体、まったくMDと同じですが、音楽を0と1の信号に置きかえ る方法が異なるのです。


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