森井教授のインターネット講座 最新版(2000年11月11日掲載記事)



第157回 インパク


解説イメージ

先日、政府のIT(情報技術)戦略会議は、IT立国を目指した国のIT 基本戦略草案をまとめ、発表しました。その内容はIT立国を阻害す る規制の撤廃や法律の整備、行政手続きの電子化等です。さらに、 具体的な数値目標として、今後1年以内に、すべての国民が安価に インターネット常時接続を可能にすることを上げています。また5 年以内には、ほとんどの家庭が現在のアナログ電話線接続に比較し て数十倍以上の高速データ通信可能な高速インターネット網への常 時接続を安価に実現するとしています。具体的な数値目標をあげた ことは評価できるのですが、「戦略」としては疑問が残るところで す。ITをどのように利用して具体的に何を目指すかと言う具体的な 指針が望まれるところでしょう。

現在のIT担当大臣は堺屋太一氏ですが、その堺屋太一氏らが中心に なって、インターネット博覧会、略してインパクが今年の末から開 催されるのはご存知でしょうか。この博覧会は一言で言うと、国、 地方自治体、民間企業、NPO(非政府組織) 、そして個人等がイン ターネット上でパビリオン(ウェブサイト)を設営し、それぞれ特 色を持った行事を展開するというインターネット上の博覧会です。 前の世紀末に開かれたパリ万国博覧会では、20世紀の繁栄を予感さ せるイベント、展示が催されました。事実上、「電気」というキー ワードを中心に、それを動力源に用いた様々な機械、特に動く歩道 やマルチスクリーンの大画面映像等が展示され、20世紀のテクノ ロジー(技術)の根幹を見事に表したものでした。わが国で開かれ た1970年の大阪万博も「人類の進歩と調和」をテーマに、テク ノロジーを全面に打ち立てた未来に向けて胸踊る内容であったと記 憶しています。21世紀を目前に控えた今、IT革命がもたらす未来 を占う、前世紀のパリ万博以上の重要な博覧会といえるでしょう。 インターネットがもたらすネットワーク社会は個人が主役の世界で す。大衆の世紀と言われた20世紀に対して、IT革命下での21世 紀は、それぞれの個性が調和を求める時代となることでしょう。今 までの博覧会は国や企業等といった組織が中心となって、大衆にア ピールするものでした。インパクでは個人がパビリオンを設営する ことが可能なのです。徳島県をはじめ、地方自治体や有名な企業も 多数参加していますが、それと同等に個人がその個性をアピールす ることも可能になりました。このインパクにおいて、特に従来とは まったく異なる発想を持った個人が21世紀を垣間見せてくれるか もしれません。インパクのパビリオンは http://www.inpaku.go.jp に建設中です。


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