3年ほど前でしょうか、この連載において「情報家電」というタイト ルの内容を書きました。パソコンがテレビや携帯電話に近づいてい って、身近な存在になるという内容でした。インターネットやパソ コンも3年前に比較すると利用者が格段に増えましたが、まだまだテ レビほど身近な存在とは言えません。インターネットができるテレビ も発売されましたが、広まることなく消えて行きました。その理由は 操作性だとか、通信料金の問題であるとか言われていますが、テレ ビを見たい人がインターネットを必要としなかったのが第一の理由 でしょう。インターネットは個々の人が利用する、いわばプライベ ートなものであり、テレビはブロードキャスト(一斉放送)の名の ごとく複数の人が同時に利用する(見る)ものであることから、相 容れなかったところもあると思います。
最近、テレビを見ることのできるパソコンが売り出されています。 パソコンが一家に一台となった今、パソコンをデータステーショ ンにして、すべての情報処理をしたいと言う要求が起こってきまし た。その一つがテレビです。通常のテレビの情報(画像と音声)は アナログ信号ですが、パソコンの能力が高まり、デジタル信号に変 換することができるようになりました。その変換した信号(画像) を記録するためのハードディスクも大容量になり、テレビなみの 画質で数時間分以上のデータを記録できるようになったのです。今 では、ワープロや作画等の作業をコンピュータにさせながら、テレ ビを見たり、録画したりできるようになったのです。特に通常のテ レビ放送にさえ、大都市圏の一部の地域ですが、EPGと呼ばれる電 子番組表が付くようになりました。EPGはテレビ電波の隙間を利用し て、番組名や放送時間、内容等を家庭に送るものです。テレビ付き のパソコンが、このEPGを利用すれば、好みのタレントが出演して いる番組をすべて録画予約したり、自分の好みに合った内容の番組 を自動的に選んで予約録画したりできるのです。
一般のパソコンとは別に、パソコンの機能をテレビ番組録画に限定 した機械、すなわちHD(ハードディスク)ビデオが発売され出しま した。今までのビデオは磁気テープに映像信号を記録するものでし た。HDビデオではHDに映像音声信号をデジタル信号に変換して記録 するものです。これはHDの価格が劇的に低下したことによって実現 しました。HDビデオではテープ式ビデオではできない様々な機能が あります。第一に早送り、巻戻しは一瞬です。画面の検索も瞬時に 行うことができます。また、録画しながら、その録画した画像を再 生もできるのです。例えば録画しながら番組を視聴していたとき、 席を立った時間の画像をその番組の録画を止めることなく、追いか けて見ることができます。音楽がカセットテープから光磁気記録で あるMDに移行したのと同じく、映像も同じ道程をたどるのかもしれ ません。