先日、信販会社の「ジャックス」が富山の簡易組みたてトイレ販売 会社である「日本海パクト」を相手取った裁判で勝訴しました。こ れは大きくマスコミに取り上げられました。その理由は、ドメイン の不正使用に関する裁判所の見解が始めて明らかになったからです。 日本海パクトはjaccs.co.jpというドメイン名を正式な手続きを経て 入手しました。しかし後に、それを商標として登録していたジャッ クスから営業妨害を理由に、使用の差し止めを求められ裁判となっ たのです。裁判所の見解は、悪意を持ったドメインの不正使用に関 しては、それを認めないということです。日本海パクトがドメイン 取得後に、ジャックス側に対して、ドメイン使用の権利を高額で買 い取るように求めたことが判断の基準に影響したようです。つまり 商標であるならば、それ自体、あるいはそれを連想するドメインを 使用することが出来ないというわけでは必ずしもありません。
一般にドメインの取得は先願登録制と呼ばれる、いわゆる「早い者 勝ち」の制度が取られています。日本海パクトは、富山県内の企業 連合体のホームページのドメインとして「企業家支援集団心地よい ゆりかご(Japan Associated Cozy Cradle Society)」の頭文字 JACCSを申請し、正式に取得が認められたわけです。したがって何ら 悪意がなく、このドメインを正当な業務で利用する限りは、業務妨 害が認められるか否かは判断が分かれるところです。実際に、日本 航空(JAL)は、米国人が所有するJAL.comというドメインについて、 国際的な調停、つまり所有権の移転、もしくは使用中止を世界知的 所有権機関に申請しました。しかし、JAL.comは米国人が正当に取得 している上に、悪意を持った使用に当たらないとして敗訴しています。
11月から日本語ドメインの申請が始まりました。多くの企業や個人が 自社や自分自身の名前、もしくはそれを連想させるドメインを取得し ましたが、まったく関係のない第三者が公知の企業名や名前を使った ドメインを申請し、取得したことで問題となっています。特に、その 使用する権利の転売を目的としてネットオークションにかけられている ことが問題視されているのです。これら、不法にドメインを占拠する 行為はサイバースクワットと呼ばれます。先の裁判の結果、さらに世 界知的所有権機関の判断から、単に転売目的のドメインの取得は、悪 意を有する行為と見なされ、認められなくなるものと考えられます。 来年以降、新たにトップレベルドメインとしてjp, web, site等が公開 され、その上で日本語ドメインの申請が受け付けられます。jpでは、 完全な先願登録制ではなく、先にco.jp等に登録されている機関を優先 して、申請を受け付け、次に新たな組織と個人に申請を認める方法を 考えています。不正なドメインの先取り行為を幾分でも緩和しようと するためです。