森井教授のインターネット講座 最新版(2000年1月20日掲載記事)



第163回 学校でIT教育


解説イメージ

学校でコンピュータやインターネットの利用方法を教える必要性に ついて、昨年末に述べ、21世紀の課題と致しました。昨年の国によ る補正予算で実現した国民に対するIT講習会が今年になってから各 地で実際に催されようとしています。対象は学生ではなく、一般社 会人なのですが、その地区の小中学校がパソコンやインターネット を利用した教育に力を入れているところほど、関心が高いと言うこ とです。子供や孫がそれらに興味を持っていることに対して敏感に 反応していることが理由でしょう。子供に購入をせがまれているパ ソコンやインターネット接続がどういうものであるのか体験したい と言うのが動機のようです。

学校でのIT教育ですが、一般にはパソコンとインターネットの利用 方法を教えることと解釈されているようですが、パソコンとインタ ーネットは大きく異なります。パソコンはいわゆる機械であり、そ の使い方を教えるのはさほど難しくはありません。インターネット は、IT社会での「ものの見方、考え方」を教えることになります。 特にインターネットの技術の上に作られているネットワーク社会 に乗り出して、その社会での生活方法を身につけることが第一なの です。例えば、資料を調べるにしても、その資料の信憑性や著作権、 資料の持ち主との交渉や問い合わせ等をネットワークの中で行う必 要があります。その方法論を身をもって体験、学習するのです。昔 から小中学校では「社会学習」という、校外に出て実社会の人達と の交流を通しての体験学習があります。インターネットも実社会に 対するネットワーク社会での体験学習が主となるのです。もちろん、 その前に、その社会の仕組みや成り立ち、規則やマナー等を勉強し なければなりません。しかし、それだけではインターネットを理解 することにはならないのです。「学校」とは、実社会に出るための 基礎知識の獲得と、実社会のシミュレーションを行うところだと定 義する人がいます。インターネットも実際にネットワークの中に入 り込むことなく、使い方だけを学習することで十分という人もいる でしょう。しかしインターネットによるネットワーク社会は良くも 悪くも、すべての人に対してドアが開けられていて、容易に入るこ とができるのです。学校でも、そのことに対応して、実際のネット ワーク社会での生活、その中でより良く生きていく方法を教えるべ きでしょう。実社会での実習ならば、一人一人の行動を把握するこ とに不安もありますが、インターネットでは、一人一人の行動は、 「ログ」としてすべて自動的に記録されます。その行動においての 責任を自分自身が取らざる得ないことも教えなければなりません。 次回は、インターネットでの有害サイトへのアクセスを規制する方 法として、学校等で用いられている「フィルタリングソフト」につ いて説明しましょう。


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