森井教授のインターネット講座 最新版(2000年2月24日掲載記事)



第167回 光ファイバー


解説イメージ

3月から東京で、最大100メガビットの伝送スピードであるイン ターネットサービスが始められる予定です。100メガビットのス ピードとは、現在でも多くの人が利用しているアナログ電話線を用 いたモデム接続に比較して、2000倍の速さです。しかも料金は 月額固定で5,000円弱を予定しているということです。このサ ービスを始める会社は、有線放送で音楽を流していた会社であり、 音楽を流すために用いていた独自の回線を光ファイバーに変えてい き、その回線を利用して家庭まで光ファイバーを直接引き込んで利 用するというものです。FTTH(ファイバー・ツー・ザ・ホーム)が 文字どおり21世紀になって実現しようとしているのです。

現在、ほとんどの有線による通信では、光ファイバーを利用した回 線を使用します。電柱に引かれている通信回線もほとんど光ファイ バーであると言って良いでしょう。通常使っている電話回線でも、 8割以上は光ファイバーなのです。しかし、一般家庭では、まだま だ引き込まれている回線は銅線と呼ばれるものであり、将来は、こ れをすべて光ファイバーに代えていく予定です。昔は光ファイバー 自体が銅線に比べて高価なものでしたが、現在では、非常に安価に なって、古い銅線を張り替える場合は、光ファイバーに置き換えて も、さほどコストは変わらないのです。

では、光ファイバーとは何でしょうか。どうして銅線より優れてい るのでしょうか。そのために有線通信について説明しましょう。 糸電話というものをご存知でしょうか。2つの紙コップの双方の裏に 糸を張って、紙コップに向けて声を出すと相手の紙コップに、音の 信号(振動)が伝わり、声が聞こえるというものです。その振動を 利用した通信では、音質の悪い声、すなわち非常に情報量が小さく、 しかも長い距離を伝えるには非常に困難です。情報量を多くするため には、細かな振動を伝えなければなりません。これが電磁波です。 糸では電磁波を伝える効率的な媒体になりませんので、銅線が用い られます。しかし、銅線でも電磁波を遠くに伝えることはできず、 途中で増幅器(中継器)を用いて信号である電磁波を強めてやらな ければなりません。さらに多くの情報を送るためには、さらに細か な振動を有する電磁波を用いなければなりません。電磁波の振動数 は周波数と呼ばれますが、それを高くしていくともはや電磁波とは 呼ばれずに、光となります。周波数が高くなると銅線では伝わりに くくなってしまいます。光を効率良く通す媒体が光ファイバーなの です。光ファイバーは髪の毛よりも細い、中心部分に石英やアクリ ル等を利用したものです。現在の光ファイバーでは、信号である光 を数百キロメートル、増幅器(中継器)なしで伝えることができま す。光ファイバーを用いた通信、すなわち光通信では、多くの情報 を送ることができるだけでなく、遠くにその情報を届けることがで きるのです。


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