森井教授のインターネット講座 最新版(2000年3月17日掲載記事)



第169回 ADSLふたたび


解説イメージ

約2年前の第116回の講座においてADSLという高速なインターネット サービスを紹介しました。そのADSLというサービスが地方でも開始 されることになりました。CATVとともに徳島でも本格的な月額5千 円前後の高速インターネット常時接続時代が到来しようとしていま す。そのADSLを少し詳しく説明しましょう。ADSLとはAsymmetric Digital Subscriber Lineの略で日本語に訳すと非対称デジタル接続 電話加入者線となります。非対称というのは、ユーザ側から見てデ ータを受信できるスピードがデータを送信できるスピードに比較し て早いことを意味しています。前者を「下り」、後者を「上り」と 呼びます。一般には下りが1.5Mbps、下りが0.5Mbps程 度のスピードです。Mbpsとはメガ・ビーピーエスと読みます。M とは100万倍のことで、bpsとは1秒間に1ビット、すなわち0 もしくは1のデジタル情報を送る能力を意味します。つまり、下り が1.5Mbpsとは1秒間に150万ビット送れることを意味するので す。これはモデムによるアナログ電話線接続の30倍のスピードで す。

ADSLは韓国やアメリカでは広く流通しているサービスですが、日本 ではさほど取り上げられることはありませんでした。その理由は、 光ケーブルによる高速インターネットを強く推進し、その中継ぎで あるという印象を与えたからです。しかしながら光ケーブルの敷設 を待っていては都市部でも数年、地方では10年近く待たなければ なりません。それまでにも高速なインターネットという要望が強ま り、ADSLが注目されるようになったのです。

ADSLは電話線を利用しますが、特別な設備がADSLをサービスする会 社にも、ユーザー宅にも必要です。サービスする会社は電話局に、 電話の信号とADSLのデータ信号を分割する装置や多くの人が同時に 利用するADSLの信号を多重化、すなわち束ね合わせる装置が必要で す。ユーザー宅には、電話とインターネットの信号を分離する装置 (スプリッター)とADSL用の信号に変換するADSLモデムという装置 が必要です。前者は2000円ぐらい、後者も2万から3万円程度 です。

最後にADSLを利用するにあたって重要なことは、家庭に引き込まれ ている電話線がアナログ電話回線であることです。ISDNで契約して いる電話回線はADSLを利用できません。ISDNを解約して通常のアナ ログ回線に戻さなくてはならないのです。さらに家庭と電話局の間 が、すでに光ケーブルになっているところはADSLを利用できません。 都市部では、すでに光ケーブルになっているところも多いのです。 この場合、光ケーブルでないところに迂回するよう、電話局に指示 する必要があります。


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