10年ほど前、愛媛大学に赴任し、四国の各地にて「インターネッ トは必ず電話やファックスのようになる」と説いて回りました。こ の実現は誰でもが認めるところであり、ブロードバンドと呼ばれる 広帯域、すなわちADSLやCATV回線を利用した高速なインターネット の広まりによって、テレビにも取って代わろうとしています。その 電話やファックス、そしてテレビ等ですが、社会に違和感なく受け 入れられ、その仕組みについて不思議に思う人もすくないでしょう。 インターネットも同じ状況に置かれるようになり、その仕組みにつ いて不思議に思うことなく使われるようになりました。
最近、読者の方から「国際電話をかけると、その料金を時間単位で 徴収されるのに、インターネットで音声通信をすると、どうして無 料なの」という質問を頂きました。もちろん、無料ではなく、個人 はプロバイダと呼ばれるインターネット接続業者にインターネット 使用料金を支払っています。しかし国外に通信しようとも、その料 金以外に徴収されることはありません。電話では市内、市外、国際 と分けて徴収されることを考えると不思議になるのは当然でしょう。 今回はインターネットの仕組みを簡単に解説したいと思います。
インターネットを一言でいうと、「ネットワークとネットワークを 結ぶ技術、そしてその運用の約束事」です。プロバイダというのは、 一つのネットワークなのです。一般の人は、そのネットワークの一 員としてインターネットに参加することになります。プロバイダは、 また別のプロバイダに接続しています。一つのプロバイダがいくつ ものプロバイダと接続している場合もあります。またIX(インター ネットエクスチェンジ)と言って、いくつものプロバイダが一箇所 で接続している形態もあります。このようにして網の目のように、 ネットワークがつながっていって、世界中のネットワークが結ばれ ることになるのです。プロバイダが他のプロバイダやIXに接続する 際は、その費用を負担しなければなりません。一般の人、組織も含 めて、プロバイダも相互接続するための費用を支払っているのです。 その費用の支払い方ですが、「いくら使ったか」に対してではなく、 「いくら使うか」に対して支払われます。前者の場合、誰がどれだ け使ったかを記録したり、料金を計算したりしなければならず、そ のための処理だけで非常に複雑になります。後者だとその必要はあ りません。前者は従量制、後者は固定制と言われます。固定制のほ うは相互接続する方法が簡単になり、結果として手軽に、そして安 価に接続できるのです。インターネットの世界では、このようにイ ンターネットを利用するすべての人が費用を出し合って運用してい ることになります。