森井教授のインターネット講座 最新版(2000年4月2日掲載記事)



第171回 インターネットとは(中)


解説イメージ

インターネットとは「ネットワークとネットワークを結ぶ技術、そ してその運用の約束事」であると書きました。技術的にはネットワ ークと他のネットワークを結び、そして通信するための約束事が決 められています。電話でも同じように電話と電話、あるいは電話局 と電話局の間を結んでいます。データ(音声)を送るという意味で は同じですが、何が違うのでしょうか。大雑把に言うと、電話では、 データ(音声)を送る仕組みが非常に複雑であることに対して、イ ンターネットでは非常に単純なのです。電話という単に信号を音に 変えるだけの機械であるがゆえに、音声を送る部分、すなわち通信 システムの部分を複雑にせざる得ないのです。なぜならば、相手の 電話機へ確実に、それも正確に音声を届けなければなりません。イ ンターネットでは電話ほど確実に相手にデータを届ける必要がない のです。また、確実に相手にデータを届ける保証をしない仕組みに しています。そうすることによって、データを送り届ける仕組みが 非常に簡単になり、その結果、装置も安価に、しかも運用管理も楽 になるのです。もちろん、インターネットであっても、相手にデー タが届けられなければ意味がありません。インターネットの通信シ ステムの上では確実に相手へデータが届くことを保証しませんが、 それを電話機に相当するインターネット端末が補っているのです。 一般にはインターネット端末はコンピューター(パソコン)であり、 電話機に比べて極めて複雑な処理をすることができます。データを 送るという処理の一端をパソコンに担わせることによって通信シス テムを簡素化しているのです。インターネットは「ベストエフォー ト(best effort)型」のネットワークだと言われます。これは必ず通 信できる、つまり確実に相手へデータを送ることは保証しないが、 最善努力を行う仕組みを提供していることから言われます。同様の ことから、インターネットを「いいかげんなネットワーク」と呼ぶ 人もいます。しかし、確実には送れないのですが、ほとんど確実に は送れるような仕組みになっています。「送ることに失敗すれば再 度送りなおせば良いではないか」という発想がインターネットなの です。完璧ではなく、ほぼ完璧を目指すことによって大きな技術変 革を起こす場合があり、インターネットはその典型ともなっていま す。


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