森井教授のインターネット講座 最新版(2000年4月16日掲載記事)



第172回 インターネットとは(下)


解説イメージ

インターネットは「いいかげんなネットワーク」です。この意味は、 決して不安定な信頼性のないネットワークであるということではあ りません。必要最小限の約束事を決めて、ネットワークの集合体で あるインターネットを構成するひとつひとつのネットワークが、そ れぞれ独自に機能させることができるということです。難しい言葉 で言うと、「自立分散型ネットワーク」と呼ばれます。インターネ ットという組織はないのです。あるのはネットワークとネットワー クをつなげるための約束事を話し合う場だけです。その約束事も臨 機応変に変更していくという特徴を持っています。

通常、国際的に通用する技術や製品は各国々が集まって、「国際標 準化」という作業を行います。例えば、日本で使えてもアメリカで は使えない技術や製品であっては、その開発や生産に関して余計な コストがかかります。何よりも、国際化された現在、利用する人が 非常に不便になります。したがって、どこの国でも使えるように製 品の仕様や規格を統一することが行われるのです。特にインターネ ット等の通信の世界では、ITUと呼ばれる国際通信連合が存在して 150ヶ国以上の国が参加し、電気通信関連の技術、サービス等の 国際標準化を行っています。不思議なことにインターネットは、こ の国際標準化に従っていないのです。インターネットの世界では国 際規格というようなものはありません。乱暴な言い方をすると、誰 かが新しい提案をして、それに多くの人が賛同し、使うようになれ ば、共通の約束事として認められるのです。もちろん、その約束事 が未来永劫使われるものではなく、それを上回る技術が出現し、イ ンターネットを利用する人たちの賛同を得られれば、新しい技術や 約束事に取って代わられます。この方式は非常にあいまいで、いい かげんなことのように捉えられますが、現在の技術革新の早さから 考えると非常に効率的な方式なのです。国際標準では、細部にわた って厳格に決めることになり、確かに製品化や利用するものにとっ て非常に便利なのですが、技術規格を決定するまでに、早くて数年 かかってしまいます。この数年のうちに新しい技術が生まれて陳腐 化してしまうことも十分考えられるのです。国際標準に対抗する言 葉として、「デファクト標準」という言葉があります。デファクト 標準とは、結果的に大部分の人が使うようになった技術や製品に対 して称されます。例えば、パソコンにおいて「ウィンドウズ」とい うOSはデファクト標準です。しかし将来にわたっても「ウィンドウ ズ」がデファクト標準であるかどうかは保証できません。インター ネットも現在の技術がそのまま使われるということは保証できませ んが、より優れた技術がすばやく利用できるようになっているので す。


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