森井教授のインターネット講座 最新版(2000年5月14日掲載記事)



第174回 無料インターネットサービス


解説イメージ

前々回にインターネットの仕組みを解説しました。その中でプロバ イダへの接続料金と、公衆電話回線のモデムを使用する場合の市内 電話料金だけで、海外のどの国とも通信ができました。TV会議のシ ステムを使えば、海外の人とでも余分な料金を請求されることなく、 相互に映像付きで会話ができるのです。日本からパソコンを用いて インターネット接続し、外国に電話をかけるというサービスも、余分 な料金を請求されつことなく可能です。

インターネットでは、国外へも国内と同様に通信できる理由を以前 説明しました。簡単に言うと、回線にしろ設備にしろ、インターネ ットを利用する人すべてが少しずつ負担しているのです。しかし先 に例として上げたインターネットからの電話利用サービスや、探し ているホームページを検索してくれる検索サービスはインターネット が使えれば無料で利用できます。自分のホームページを作る場所も 無料で提供されています。つまり、自分のURL(ホームページのアド レス)を無料で持てるのです。無料のメールアドレスもあります。 最近では、スケジューラー(予定表)機能も無料で提供されて、予 定表を書き込んでおけば、指定された時刻に携帯電話へメールを送 るサービスもあります。プロバイダに払うインターネット接続料金 すら無料にしているところもあるのです。

これらの無料のサービスはどのようにして成り立っているのでしょ うか。個人がボランティアで行っている場合もありますが、圧倒的 に、企業が利益を目的にサービスを行っています。利用者の負担を 無料にして、どこから利益を得るのでしょうか。実はその多くの企 業が、広告収入によって成り立っているのです。インターネットで の広告は非常に有効なのです。その理由は双方向の通信であること です。個人を特定することは出来なくとも、利用者の傾向、つまり どのような人たちがどのような消費行動を取るのかというデータを 収集して、それを広告主に提供しているのです。企業は無料のサー ビスを提供することによって多くの顧客を集め、データを収集する ことができるのです。広告主はそのデータを利用して、さらに有効 な広告、あるいは製品開発を行うのです。つまり各種無料サービス の企業は、そのサービスを行うことが本業ではなく、そのサービス を利用するために集まる人のデータを収集することが、利益を得る と言う意味での本業なのです。


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