小泉内閣では、「道路特定財源制度」の見直しが議論されています。 道路特定財源とは、国税としての揮発油税や自動車重量税、地方税 として軽油引取税等を指し、原則としてそれらの財源を道路整備の 費用のみに割り当てようという制度です。平成12年度においては、 約5兆8千億円の財源があります。政府はこの財源を経済対策や福祉 等の一般財源に組み込むことを検討しているのです。道路整備が遅 れている地方では反対意見もあるようです。しかしながら道路の建 設が地方経済の活性化を期待できた高度成長期に代わって、経済構 造を含めた社会構造自体が変革の時期である現在、必ずしも道路整 備を特別枠として考慮する必要性の是非が問われているのです。
その道路および自動車の世界にもIT、特にインターネットの利用に よる高度情報化が進められています。高度情報化によって、「目的 を達成するために必要な人を含む物資の移動を最適化する」ことが 可能になるのです。移動の最適化とは、安全、すなわち交通事故を 起こさず、場所の選択、渋滞等を起こさない、あるいは巻き込まれ ない移動方法の選択、車内において人や物資が快適に保つための環 境操作等です。それらの試みは「高度道路交通システム」といい、 ITS(Intelligent Transport Systems)の略称で呼ばれています。 ITSの構想自体は古く、国家プロジェクトとしても1996年から進 められています。具体的な事業としては、渋滞情報や通行規制情報 をリアルタイムで走行中の車両に知らせる、危険車両、すなわち過速 度、過積載等の車両の発見、取り締まり、そして有料道路における 料金所での料金支払いの自動化等です。これらはすでに限定的な地 域、道路で実現されており、特に料金自動支払いのシステムは有料 道路自動料金収受システムといい、ETC(Electronic Toll Collection System)の略称で呼ばれ、東京湾アクアラインや首都高速道路等の 一部で実用化されています。ETCの仕組みは、ETCカードと呼ばれる ICカードとそのICカードを読み込むカードリーダを車に搭載し、有 料道路を通過すれば、自動的にカードリーダと料金所が無線で通信 し、料金所とETCカードの双方にいつどこを通過したという情報と料 金を記録するというものです。合わせて契約しているETCカードの所 有者の銀行口座から料金を自動的に引き落とすシステムです。有料 道路が混雑するひとつの原因は料金所での一定時間の停止であり、 これがなくなることによって、交通渋滞の緩和にもつながるのです。 そして排ガスにまみれた料金所での料金回収という劣悪な労働も回 避できるのです。