森井教授のインターネット講座 最新版(2001年10月29日掲載記事)



第187回 地方のブロードバンド(下)


解説イメージ

インターネットでテキスト(文字)や写真を含む静止画像を見るこ とは当然ですが、最近ではストリーミングといって音声や映像をイ ンターネットで流すようになりました。ストリーミングとは、ラジ オやテレビ放送のよう音声や映像を即座に送り、生放送ができる技 術です。生放送だけでなく、視聴者一人一人が希望する番組を、望 むときに望む部分から視聴することができるのです。これをVoD( ビデオオンデマンド)と呼んでいます。10年ほど前までは、VoDを 実現することがマルチメディアの目的の一つだったのです。今では、 インターネットを使えば容易に実現できるのです。しかしVoDをテレ ビ放送並みの映像で受信しようとすると、高速なインターネット、 すなわちブロードバンドが必要になります。これからのインターネ ットは、映像だけでなく、ブロードバンドを前提にして、すべての サービスが行われようとしているのです。十数年前のパソコン通信 は、低速な上にほとんど文字だけしか送れないサービスであり、イ ンターネットの出現によって駆逐されてしまいました。これからの インターネットは同じような変化が起こり、ブロードバンドでなけ れば、インターネットではない、あるいはインターネットを使えな いことになるでしょう。

このブロードバンドが地方でも容易に利用できるようになりました。 しかし地方でも都市部だけなのです。都市部から離れたところでは 相変わらずサービスされないのです。現在、インターネットを利用 することは地方のどの地域でも可能になりました。しかし、ブロー ドバンドを利用できる地域は限られているのです。インターネット の普及時以上にデジタルデバイド、つまり格差が広がっています。 特に小中高等学校では教育にITを利用することは必須であり、その 中核技術であるネットワーク利用について格差が問題となり、教育 の質においても歴然となることでしょう。低速のインターネットと ブロードバンドとでは、その利用における効果についてまったく異 なることを理解しなければなりません。例えるならば舗装されてい ない「あぜ道」と「高速道」の差なのです。またもや「高速道」か ら見放される地域がでようとしているのです。


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