最近になって、総務省が25GHzの準ミリ波帯の開放を発表しました。 この意味は25GHzという高い周波数のところで無線を使ったインタ ーネットが利用できるということです。今までも「無線LAN」という 呼び名で、有線の代わりに無線を利用した屋内でもインターネット アクセスが行われています。パソコンに小さな装置をつけるだけで、 インターネットに接続できる無線LANは非常に効率的です。狭いオフ ィス等では、特にラインが邪魔になり、パソコンを新たに接続する 際には、フロアのパネルを剥がしたりしてラインを付け直さなければ ならなくなります。無線LANではその面倒さから開放されるのです。 もう一つ、無線LANの大きな強みは、接続したパソコンを容易に移動 できることです。屋内であればどこへでも持ち運べます。最近は ノートやサブノートと呼ばれる小さなコンピューターがオフィスで もよく用いられることから、接続しながら机から机へ移動すること も可能になりました。しかし無線LANにも弱点があったのです。それ は接続速度です。有線の場合、今では屋内ですと最大100Mbpsの速度 のLANが一般的です。通常、10Mbps以上の速度で通信することが普通 なのです。今後は「ギガビット」と言って、更に速いLAMが普及して いくことでしょう。一般的に流通している無線LANでは最大10Mbps程 度であり、複数の人が利用するとおおよそ1Mbps程度の速度、つまり 有線の1/10程度の速度になってしまいます。最近は少し速い無線 LANの方式も出回るようになりましたが、有線に比べて低速であるこ とには変わりがありません。
25GHz帯の開放はこの欠点を十分補うものなのです。現在、主として 用いられている無線LANの周波数は2.4GHz対です。25GHz帯はこの約 10倍の周波数であり、単純に考えても10倍の情報を送れること になります。では更に高い周波数の帯域を利用すれば更に高速な通信 が可能になるのでしょうか。残念ながら実際の利用に関してはいくつ もの問題があり実現できません。一つは高い周波数を扱う装置のコス ト、もう一つは電波の性質です。例えば周波数が高くなると一般に 直進性が鋭くなります。つまり、少しの障害物があるだけで電波が 届かなくなります。また雑音にも非常に弱くなるのです。25GHz帯は 実際に利用できる帯域として非常に有望です。この帯域を利用した 無線LANでは最大420Mbpsを実現することが目標になっています。