森井教授のインターネット講座 最新版(2001年11月26日掲載記事)



第190回 無線インターネット(中)


解説イメージ

無線LANの特徴は、ライン(導線)を引く必要がないことによる設 備の簡単さと屋内であれば場所を選ばないことです。ノートタイプ のパソコンであれば、隣の机から机へと容易に持ち運んでLANに接続 できるのです。欠点である速度も政府の規制緩和の恩恵を被って、 高い周波数の帯域も開放されつつあり、また周波数有効利用の技術 進歩によって改善されつつあるのです。

インターネットの世界では、「ラストワンマイル」という言葉があ ります。これは地域内の拠点において高速なブロードバンドの回線 が敷設されてはいるものの、そこから自宅や事業所へブロードバン ドの回線を引き込む手段が極めて高いコストを要することを意味す るものです。必ずしも1マイル(1.6キロメートル)程度必要で あるということではなく、目先のブロードバンドを導く回線から自 宅や事業所に引き込むことの困難さを意味しています。都会では、 ほとんどの地域において、自宅や事業者の窓から見あげたところに 光ファイバー回線が引かれており、それを用いてブロードバンドが サービスされています。都会でのラストワンマイルの意味は地方と 異なり、ほんの数メートルの距離を屋外から屋内に引き込む困難さ を意味しているのです。そのラストワンマイルの問題を解決する有 効な手段として無線インターネットが注目されています。

無線インターネットとは言わば屋内無線LANを屋外で使用した方式で す。今までの屋内無線LANを単に屋外で利用だけで、何の困難さもな いように思われますが、実はいろいろな問題点があるのです。ひと つには、無線到達距離の問題です。屋内であればせいぜい10メート ル程度の距離を想定すればよいのですが、屋外での利用を考えると できるだけ長い距離が必要になります。無線電波の強さは法律によ って制限されていますから、長い距離を得るには技術的な改良が必 要です。また多くの人が屋外で無線インターネットを利用するとな ると、その無線同士が互いに影響しあってデータを正確に送れなく なります。これを電波干渉と言います。また周波数によっては、医 療機器や家庭用電気機器との電波干渉も問題になります。制限されて いる無線電波で、数多くの人がブロードバンドと言える速度で、イ ンターネットを利用できる方式がいくつか開発され、一部は実用化 されています。


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