森井教授のインターネット講座 最新版(2001年12月3日掲載記事)



第191回 無線インターネット(下)


解説イメージ

携帯電話を利用したインターネットサービスがあります。これも一 種の無線インターネットですが、速度が遅いと言う欠点があり、通 常のインターネットのサービスを授受するのは非常に困難です。近 々普及するであろう次世代携帯電話でも、当面は最大384Kbpsという 速度であり、必ずしも高速ではありません。携帯電話は、移動中も 利用できる、メールやウェッブを見る簡易インターネット利用に限 定され、そして無線インターネットは仕事(操作)場所を選ばない 高速インターネット利用と区分けされることでしょう。

屋外での無線インターネットについては、四国では全国でも早い時 期から実証実験や実際の運用システムの構築が行われています。平 成10年には郵政省四国電気通信管理局(現、総務省四国総合通信局) が中心となって、「地域振興のための電波利用に関する調査研究会」 が置かれ、無線インターネットの実現可能性に関して調査研究を行 い、その結果を利用して、徳島県鷲敷町において実証実験を行って います。その後も、徳島市内や松山市内において実証実験が行われ、 その数々の実験データは今日の無線インターネットの構築において 多大な貢献を与えました。

ラストワンマイルの問題を考えると、無線インターネットはブロー ドバンドインターネットのインフラが縦横無尽に引かれた都会に比 べて、地方でこそ、その更なる恩恵を与えます。地方では人口密集 の度合いが小さいため、すぐ近くにブロードバンドインターネット のインフラが敷設されているとは限りません。特にCATVやADSL等の サービスが提供されている市街地近辺を離れると、低速でしかも費 用がかかる公衆電話回線利用したインターネットしか利用できない 現実があります。無線インターネットは、この離れた市街地にイン フラを引いてくるコスト最小の手段となる可能性があるのです。無 線インターネットの基本的な利用法としては地方の各市町村の中心 部まで光ファイバ等のブロードバンドインターネットのインフラが 引かれ、その各市町村の中心部になる光ファイバの節から、無線イ ンターネットが引かれるような形になります。しかし徳島のような 地方では市町村の中心部から数キロ以上離れた土地に住む人の割合 が多く、ラストワンマイルの問題を解決するだけではブロードバン ドインターネットを利用できません。しかしラストワンマイルだけ でなく、光ファイバの変わりに無線を利用することも可能です。光 ファイバほど、信頼性も高速性も保証されませんが、十分低いコス トで敷設することが出来るのです。地方においてのブロードバンド インターネットの実現は、まずは骨格となる各市町村を結ぶ光ファ イバ等を利用したインフラ整備と、それを補う無線インターネット によるインフラ整備が現実味を帯びています。


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