森井教授のインターネット講座 最新版(2001年12月24日掲載記事)



第192回 今年を振り返って


解説イメージ

この連載も1996年8月に始まって、来年で6年目に入ろうとしていま す。連載開始当時は徳島や四国ではまだまだインターネットが浸透 しているとは言えず、新しく、そして珍しい技術としての紹介や解 説が中心でした。現在、インターネットは電話やファックスと同等 に利用される通信の方法であり、テレビや新聞と肩を並べる情報伝 達手段となりました。携帯電話での電子メールやブラウザ(ホーム ページを見る仕組み)の利用を含めれば、ほとんどの人がインター ネットを利用している、あるいは利用したことがあると言っても過 言ではないでしょう。インターネット普及啓蒙の時代は過ぎ去り、 個人の生活に対してどのように活用していくかを個人が考える時代 になりました。インターネットは電話やテレビと同等、あるいはそ れ以上の生活に密着した情報収集ならびに情報交換の道具、すなわ ち社会インフラ(基盤)になりました。

今年になってさらに顕著になった問題はデジタルデバイド(情報格 差)です。持つものと持たざるものとの差は、道路や公共施設を始 め、様々な社会インフラで問題とされることです。インターネット でも、地域によってその格差が生まれています。特にブロードバン ド元年と言われた今年は、地方の中でも、ADSLやCATVといった高速 インターネットがサービスされる地域と、そうではない地域では大 きな格差を生むことになりました。今までの、文字や画像を扱って いた時代から、音声や動画をリアルタイムに扱える時代になったの です。言わば、新聞などの活字メディアしか存在しなかった時代か ら、テレビ等の放送メディアを活用できる時代になったときと同じ です。テレビの難視聴地域を解消する事業が公共事業として行われ るのと同様、すべての地域でブロードバンドのインターネットが利 用できるようにすべきでしょう。さらにもう一つ、今年の大きな話 題はウイルスの蔓延です。ウイルスはインターネットやパソコン通 信が使われる以前から存在していました。当時の一般的な記憶媒体 であるフロッピーディスクを通して感染していたのです。現在は、 インターネットのメールを通して感染し、しかもその症状は自分の コンピュータのデータが破壊されるだけでなく、「トロイの木馬」と 呼ばれる仕組みを使って、自分のパスワード等の秘密情報を外部に 漏らしたり、自動的にインターネットに接続し、他のコンピュータ のデータを破壊するようなことを行います。このクリスマスには、 そのメッセージメールを装ったウイルスメールが横行することが予 想されています。気をつけましょう。


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