森井教授のインターネット講座 最新版(2002年1月7日掲載記事)



第193回 続・ADSL(上)


解説イメージ

ほぼ3年前と1年前にADSLについて、この連載で解説しました。3年前 には、高速なインターネット接続サービスとして東京で始まったと いうニュースに合わせての説明であり、光ファイバーを各家庭まで に引き込む中継ぎ手段として、しかも現在の電話線を有効に利用で きることから注目されているという内容でした。1年前には徳島を含 む地方でもサービスが始まったというニュースに合わせての説明で した。インターネットは電子メールや静止画を中心としたウェッブ の利用から、高品質な動画像、音声を「オンデマンド」で「インタ ラクティブ」に利用するブロードバンドの時代になったのです。オ ンデマンドとは、いつでも見たいときに、目的とする動画像、音声 を利用できるということです。例えば映画ならば、いつでもその映 画の最初から、あるいは見たい個所から映画を見ることが出来る機 能です。インタラティブとは双方向性と訳されますが、利用者の要 求がすぐに返される機能です。逆にサービス側から個々に問い合わ せをすることもできます。クイズ番組に居ながらにして参加できた り、映画を見ていて、主人公の洋服が気になった場合、問い合わせ るとすぐにブランド名や価格、近くの店舗名、あるいはネットショ ッピングの手続きができるようになることです。

そのADSLの利用者は大幅な増加となっています。通常のアナログ電 話線を用いて、工事をすることなく利用でき、1.5M(メガ)bpsや 8Mbpsの高速インターネットが利用できます。しかも新たにかかる 費用は、数万円で購入できるスプリッタと呼ばれる音声電話の信号 とインターネットの信号を分離する機器およびモデムを除くと、月 額数千円程度です。ADSLを導入するに当たっての第一の関門がサー ビス地域であるか否かです。場合によっては同じ市町村内でもサー ビスを受けられる地域とそうでない地域があります。その第一の理 由は、電話局からの距離なのです。ADSLでは、既存の電話線を借り て、インターネットの信号を電話局まで送っています。電話局には プロバイダー(インターネット接続業者)の専用回線があり、そこ からインターネットに接続しているわけです。音声電話の信号と異 なって、非常に周波数の高い、すなわち微細な信号を送っているの で、非常に大きく信号が減衰します。減衰とは、信号が弱くなって いまい、電話局に正確に届かなくなることです。電話線は電話局か ら各家庭、事業体に引かれています。ADSLを利用するには電話局か ら引かれている電話線の距離が数Km以内でなければなりません。電 話局から数十Kmも離れているところ、あるいは電話局に近くとも電 話局内にADSLに対応した設備が整っていない場合は利用できないの です。


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