森井教授のインターネット講座 最新版(2002年1月21日掲載記事)



第194回 続・ADSL(下)


解説イメージ

国内のインターネットにおける昨年の話題の第一は、ADSLの普及で しょう。1年前の時点では、日本全国でADSLの利用は1万回線に満た ない状況でした。それが昨年の11月末の時点で120万回線を超え たことが報告されました。CATVによるインターネット接続も昨年9 月末で115万回戦と報告されてますから、その勢いから予想して、 ADSLがCATVによるインターネット接続数を超えたことは、まず間違 いないでしょう。

前回、ADSLのサービスを受けるためには電話局からの距離が問題で あると言いました。同じ市町村内でも、サービスを受けられる地域 とそうでない地域があるのです。電話局からの距離が長いと、電話 局から引かれているケーブルが長くなり、それだけ雑音が多く載る ことになります。ADSLは電話(音声通話)と異なって、非常に複雑 な通信の方式を使っているため、雑音に弱いのです。サービス地域 であっても、電話局から離れていると利用するインターネットの速 度が若干落ちることもあります。また、電話局からの距離だけでな く、屋内の設備の関係で雑音を多く拾い、結果として速度が著しく 落ちることもあります。ADSLは電話線にスプリッタと呼ばれる装置 を取り付けて、音声通話の回線とADSLのデータ回線を分離します。 スプリッタからADSLモデムというパソコンからのデータ信号を電話 回線に載せる装置を取り付け、そのADSLモデムとパソコンをつなぎ ます。パソコンとADSLモデムをつなぐLANケーブルはもともと雑音に 対して強くなるように作っていますが、スプリッタとADSLモデムを つなぐ電話線(モジュラーケーブル)は雑音に弱いのです。このケ ーブルが長かったり、近くに電子レンジ等の家電製品があると雑音 を拾ってしまい、速度が著しく落ちることがあります。電話線をで きるだけ短くすることと、近くに家電製品を置かないことが肝要で す。さらにADSLは1.5Mbpsや8Mbpsの速度をうたっていますが、 これは最大速度であり、その速度を保証するものではありません。 インターネットが混雑する時間帯や海外にあるサーバへのアクセス では速度が落ちる場合があります。インターネットである限り、「 ベストエフォート」という、可能な限りの速度を保とうとするが、 様々な影響を受けることによって速度低下が起こり、必ずしも、一 定の速度を保証することができない方式なのです。


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