森井教授のインターネット講座 最新版(2002年1月28日掲載記事)



第195回 電子自治体(上)


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2年程前に「電子行政府」という内容で、政府や自治体の電子化につ いて書きました。森内閣当時に制定された「IT基本法」(高度情報 通信ネットワーク社会形成基本法)に基づいての政府の一つの目標 だったのです。その後、「e-Japan戦略」および「e-Japan重点計画」 という具体的な施策の中で明確な課題として与えられました。省庁 内の業務をコンピューターやネットワークを使って効率化すること、 インターネット等の開かれた情報通信網を利用して、情報公開を積 極的に推し進めていくこと、そして官側と民側の接点の電子化、つ まり複雑な手続きを省庁やその出先機関に出向いて行うことなく、 コンピューターやネットワークの助けを借りて、短時間に簡素に行 うこと等を2003年までに実現しようとしているのです。

中央政府だけでなく、我々に身近な市町村役場と言った地方自治体 も同様に電子化することが計画されています。地方自治体の役場の 中の電子化については、まだまだ紙を使った伝達や会議が多いとは いえ、コンピューターやLANが整備され、それらを使って業務を行う ようになりつつあります。しかし住民にとって直接関わりがあるこ とは、役所の住民に対する情報公開と窓口業務の電子化でしょう。 現在、それらのもっとも効果的な方法はインターネットを利用した 相互通信による情報交換です。

まず、役所の情報公開ですが、多くの市町村でホームページ(WEB) による、イベントの告知や各種サービスの案内や紹介がなされてい ます。しかし画一的な紹介であり、また役所本位の一方的な情報公 開に留まっています。つまり、役所玄関の掲示板に張っているビラ の内容をホームページに再掲載したものに留まっているのです。も ちろん、役所に伺うことなく、それらの情報を得られることは便利 なのですが、低いコストで広報を発行することと大して差がありま せん。電子化によって従来以上の効果、特に住民に対する効果が期 待できなければ意味がないのです。インターネットの双方向性を利 用して、情報の開示だけでなく、その問い合わせについても効率的 に応答できなければならないのです。さらに役所の存在意義から考 えて情報の閲覧を選択するのは住民であり、役所ではありません。 役所において閲覧可能な情報(資料)は膨大であり、今までそれら を管理運用することは非常に困難でした。しかし、インターネット を利用することによって、それらの情報をすべて住民の意思で閲覧 させることが可能になるのです。住民も検索機能等を利用して、簡 単に希望する情報を得ることが可能です。役所では綺麗なホームペ ージを作ることに惑わされず、開示可能な全ての情報と住民との接 点をインターネットで提供すべきなのです。


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