森井教授のインターネット講座 最新版(2002年2月11日掲載記事)



第197回 電子自治体(中)


解説イメージ

神奈川県横須賀市の電子入札制度が話題になっています。横須賀市 が発注する公共事業をインターネットを使って、資格のある業者の 誰でもが入札に参加できるようにしました。入札とは発注内容に関 して、業者が受け入れる金額を記入するものです。通常、金額が一 番低い業者が受注することになります。今までの入札では、役所に 赴いて他の業者や担当の役人の顔色を見ながら札を入れたのです。 インターネットを利用した入札のシステムは結果として単に役所に 出向かなくて済むというだけではありません。発注内容や問い合わ せもインターネットを利用して行い、業者や担当役人とも顔を合わ せることがないために、談合や情報の漏洩等の不正も困難な上に、 入札に関する情報を普く公平に伝えることができるのです。電子入 札制度の効果が大きいことは、入札金額が従来に比較して大幅に下 がったことから明らかです。

電子入札だけでなく、一般に役所と住民との接点を電子化すること が考えられています。それが役所の窓口業務の電子化です。住民の 様々な役所への申請をインターネットを利用して行うのです。通常、 申請を行うためには、役所指定の申請書に記入して押印に上、提出 しなければなりません。わざわざ役所まで出向いて書かなければな らない上に、受理されるまで待たされることもしばしばです。申請 から受理まで、インターネットを利用して行うことは技術的には可 能です。上述の電子入札と同じ技術になります。しかし現状で、一 般住民に対しての窓口業務の電子化は行われていません。身体の不 自由な方や役所まで遠く離れている人には非常に便利なシステムで あり、早急な普及が期待されます。一部、自治体では公共施設の利 用の仮予約等にインターネットが利用されていますが、正式な手続 きのために役所を訪れなければなりません。また、申請書類に関し てはインターネットを利用して、書類のデータをダウンロードし、 印刷して利用することも行われるようになりました。確かに、役所 で記入する手間は省けますが、やはり役所に出向かなければならな いことにはかわりはありません。


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