森井教授のインターネット講座 最新版(2002年6月17日掲載記事)



第208回 日本初、IPv6四県連携e-会議


解説イメージ

先週の6月14日に、四国4県の大学をネットワークで結んで、各県庁 のIT政策担当責任者を招き、討論会を行いました。いわゆるテレビ 会議によって各会場を結び、討論会を開いたのです。まだまだテレ ビ会議、つまりテレビ電話は一般家庭に普及していませんが、支店 等を有する企業等では、大企業はもとより中小企業でもテレビ会議 を行うことが多くなりました。では、今回のテレビ会議は何が新し いのでしょうか、そして何が日本初なのでしょうか。

キーワードは「ギガビットネットワーク」と「IPv6」です。今 回のテレビ会議では通常のインターネットを用いるのではなく、数 十倍以上の高速データ通信が可能なネットワークを利用しています。 ギガビットネットワークと呼ばれる、その回線は総務省(当時の郵 政省)が、世界有数のIT国家になるべく、平成11年から研究開発 を進めているプロジェクトです。超高速なネットワークでデータを 伝送する技術や利用方法の研究開発用として敷設されました。徳島 では、その発足時から参加し、徳島大学工学部にその設備が置かれ ています。現在では、四国4県に設備が置かれ、大学や企業等が研 究開発に利用しています。このギガビットネットワークを用いて、 多地点を結ぶテレビ会議を行うことは、一昨年の沖縄サミットで行 われましたが、四国で行うことは初めてだったのです。もう一つは、 「IPv6」です。これは「インターネットプロトコル・バージョ ン6」ということで、簡単に言うと、「インターネットでのデータ を送る方法の最新版(第6版)」ということです。今、ほとんどの 人が利用しているインターネットは「IPv4」と呼ばれます。 実は、この「IPv4」は20年以上前に考えられた方法であり、 今のような世界中の人たちが様々な用途で使うことを想定していな かったのです。一般の人ですら、ADSLやCATVを用いて、数 Mbpsという高速インターネットで動画像や音声を自由にやり取 りする方法としては、IPv4では限界に近づいているのです。 IPv6が次世代のインターネットと言われる由縁は、先の時代を 見据えたデータ伝送の方法になっているからです。このIPv6を 用いて、実際に多地点を結んで、しかもギガビットネットワークと いう高速なネットワークを用いたテレビ会議を実現したことが、日 本初なのです。


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