森井教授のインターネット講座 最新版(2002年7月1日掲載記事)



第210回 プッシュ型サービス


解説イメージ

先日、NTTドコモが初めて、迷惑メールで東京のインターネットサ ービス会社を訴えました。その会社は数度に渡って、400万通の 架空アドレスに向けてメールを送信し、ドコモのサービスを故意に 妨害したのです。一般に迷惑メールは、適当な文字や数字を組み合 わせてアドレスの候補を大量に作り、そのアドレス全てに向けて、 メールを発信します。その候補のアドレスが本当に存在する場合、 その相手に届きますが、存在しない場合、エラーになって送信元に 戻ってきます。インターネットからメールを出した場合、携帯電話 会社には利用料金を払わなくても良いことから、広告のため、大量 に迷惑メールを発信する会社や個人がいるのです。このような迷惑 メールは、届けられた受信者が不快な思いをすることが多い上に、 メールの代金を払わされることになり、問題となっています。何よ りも大きな問題は、大量のエラーメールが流れることによって、本 来のメールが届きにくくなることです。NTTドコモでは昨年末で1日 あたり約10億通のメールが送受信されています。そのうち9億通 近くは宛て先不明の迷惑メールと考えられています。これらの大半 のメールがNTTドコモのサービスを妨害していることになるのです。

迷惑メールではなく、受信者が真に望む情報をタイムリーに受け止 めたいという要求もあります。携帯電話でも様々なホームページを 見ることができ、多くの有用な情報を得ることが出来ます。しかし、 その情報を検索する、すなわち探し出したりする作業が必要なので す。すくなくともそのホームページのアドレス(URL)を入力する必 要があります。このように情報を得たいものが積極的に操作するこ とによって情報を得るサービスを「プル型サービス」と呼びます。 基本的に、リンクをたどって情報にたどり着くホームページ(ウエ ッブ)のサービスはプル型なのです。このプル型ではなく、情報を 求める人へ自動的に配信されるサービスがあります。これがプッシ ュ型サービスです。受信者は何の操作もすることなく、テレビのよ うに情報を得ることができます。最近、このプッシュ型サービスが 注目を浴びつつあります。プッシュ型サービスは以前からありまし たが、ダイヤルアップ接続が主であり、常時接続でない個人には広 まりませんでした。しかし、最近の高速で、しかも常時接続である ADSLやCATVを利用した個人のインターネット環境が整うに連れ、広 まろうとしています。望みの情報をシャワーのように浴びられる時 代になってきたのです。しかし、迷惑メールも無秩序なプッシュ型 サービスの一つであり、使い方を間違えば、情報の洪水に押し流さ れる恐れもあります。


前回掲載記事はこちら
次回掲載記事はこちら

森井教授のインターネット講座ホームページ