森井教授のインターネット講座 最新版(2002年7月29日掲載記事)



第212回 徳島・産官学民IT事情(民編)


解説イメージ

電子政府の実現に向けて、国は様々な政策や施策を行っています。 一般の市民には電子政府の実現がその社会生活に大きな影響を直接 及ぼすことはないでしょう。しかし政府ではなく自治体の電子化、 すなわち県や市町村が行っているサービスのIT化は社会生活を変え る可能性があります。役所にわざわざ出向かなくても各種の手続き が出来る、しかも何枚もの申請書を書くことなく、いくつもの窓口 を渡り歩くことなく短時間で済ますことができるようになります。 市町村からの市民一人一人に対してもきめ細かいサービスも可能に なるのです。ネットショッピング等で行われているワンツーワン (One to One)サービスが役所のサービスとして提供されるのです。 しかしこのような漠然とした、2、3の例を別として、まだまだ市 町村にしても、市民側にしても電子自治体のイメージが沸いてこな いのが実状ではないでしょうか。

行政側がIT化されることによって、そのサービスは効率化されます が、サービスを受ける市民側もIT化されることによって相乗効果が 期待されます。先日、四国の情報通信に関して、国としてサービス を行う窓口である、四国総合通信局(松山市)から「四国県別地域 情報化指標」というものが発表されました。ITに関わるいろいろな サービスや事業の普及率を全国平均を踏まえて与えたものです。ま ず携帯電話の人口普及率(何%の人が持っているか)ですが、全国 平均の60.0%に比較して、徳島県は53.5%です。しかし、これで2人 に一人の徳島県人が携帯電話やPHSを持っていると解釈するのは間違 いです。この割合は契約数を県人口で単純に割ったものであり、必 ずしも携帯電話所持率を表したものではないのです。例えば、私は 個人での利用や研究開発の都合で、携帯電話を4台持っています。一 般に仕事での携帯電話の利用が多くなり、仕事用と個人用に2台以上 持っている人も多いのです。こう考えると徳島では3人に2人は携帯 電話を持っていないと考えられるかも知れません。また全国平均に 比較して明らかに低く、また四国4県の平均53.9%に比較しても低い のは、高齢者が多い県であることも要因でしょう。また、サービス や情報を取り扱う産業が少ない構造も影響していると思われます。 しかしながらITの中心であるインターネット人口に関しては、35.4 %であり、全国平均の34.0%を若干ながら超えています。携帯電話 でのインターネット利用者の割合が18.5%であり、やはり全国平均 の19.9%に届かないことを考えると、中高年者のパソコンによるイ ンターネット接続に関する関心が高いと類推されます。

パソコンによるインターネット接続でも最近の高速なインターネッ ト接続、つまりブロードバンド接続の割合は5.3%で全国平均の7.3 %を下回っています。CATVの世帯普及率が、全国平均の21.8%を大 きく上回った30.4%であることを考えると、TVを見るための単なる 共聴方式のCATVが普及していることがわかります。新しいインター ネット接続においても遅れをとっていると言えなくはないでしょう。


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