森井教授のインターネット講座 最新版(2002年8月26日掲載記事)



第214回 学校のIT化


解説イメージ

前々回に、総務省から最近になって発表された都道府県別地域情報 化指標を基に、自治体、特に徳島県のIT化について論じました。今 回は同様に学校、特に徳島県の小中学校および高等学校のIT化につ いて論じます。

徳島県内の学校のインターネット接続率は85.2%で、全国平均 の81.1%に比較しても高い値を示しています。しかし、まだま だインターネットを利用するための設備が十分整っているとは言え ません。現在、ほとんどすべての学校には生徒が利用できるパソコ ンが備え付けられていると考えられます。その意味では、徳島県の 学校のパソコン普及率はほぼ100%でしょう。しかも教育用パソ コン1台あたりの生徒数は10.4(人/台)で、全国平均の13.3 (人/台)に比較して少なく、十分な数のパソコンが用意されている ように思えます。しかし、パソコンやインターネットというのは、 もはや特別な機械ではないのです。言わば、鉛筆やノートに該当し、 時にも「そろばん」にもなる、これからの仕事や生活に必要な道具 なのです。生徒がいつでも自由に使いこなせるようにしなければな らないのです。その意味から10(人/台)程度の数字では、まだま だ多すぎると言えるでしょう。普通教室へのLANの整備率、すなわち 通常使う教室でインターネットが使える率は16.9%で、この値 も全国平均8.3%を大幅に上回っています。しかし、ほとんどの 学校で、パソコン室という特別な部屋に行かない限り、インターネ ットが使えない状況です。このパソコン室はいつも開けていあると は限らないようです。学校は「社会」に出て行くための準備をその 目的としています。実際の社会では、無線LAN等の整備によって、 いつでも、どこでもインターネットに接続したコンピューター(パ ソコン、携帯端末等)が使える環境を目指しています。そのために も自由にいつでもインターネットを利用できるようにすべきです。

学校関係のインターネット導入では、全国平均に比較して、上記の ように高い普及率を示しています。しかし、もう一つ大きく気にな る数値が与えられています。パソコンで指導できる教員数の割合で す。徳島県では36.8%となっており、全国平均の40.9%に 比較してかなり小さな値を示しています。パソコンを利用できる教 員が少ないことは以前から大きな問題となっています。徳島県では、 この問題が顕著であり、他の数値が良いことでさらに際立った問題 となっています。「仏作って魂入れず」が徳島県の学校でのIT教育 を象徴することわざとならないことを祈るばかりです。


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