森井教授のインターネット講座 最新版(2002年9月30日掲載記事)



第217回 IP電話


解説イメージ

先週末から、050で始まる番号の申請が始まりました。これは、 電話等の通信業務を管轄している総務省が今までの090や070 で始まる携帯電話の番号に加えて、新しい方式であるIP電話に番号 を振り当てようとするものです。IP電話を始める通信業者が、この 割り当てをもらうために総務省に申請するのです。

IP電話とはインターネットで文字や画像を送るのと同様、音声を双 方向で送る仕組みです。IP電話自体は数年前からサービスがされてい ました。今までのIP電話は、双方の話者の間にサービス会社が入り、 それぞれのサービス会社の間だけインターネットを使ったIP電話と なっていたのです。このために通常、近くのサービス会社に電話す るための市内通話料金が課され、さらにインターネットを利用する 料金が加わっていたのです。この場合、電話における長距離通話料 金が必要なくなりますので、格安になるわけです。現在、格安の国 際電話、あるいは長距離電話はこの方式となっています。ほとんど の人が意識せずにIP電話を使っていたわけです。

最近になって、一般家庭でもADSL等の高速な常時インターネット接 続が普及しました。IP電話を利用するにも、わざわざサービス会社 に電話をかける必要がなくなったのです。合わせて、IP電話機と呼 ばれるIP電話専用の電話機が売り出されました。通常、インターネ ットを利用するためにパソコンをつなぐところに、この電話機をつ なぐだけで相手のIP電話機と通話ができるのです。唯一残された問 題は、電話の番号です。IP電話はインターネットを用いてますから、 インターネットの番号、いわゆるIPアドレスと呼ばれる0と1を3 2個並べた記号を用いています。覚えにくい上に通常の電話と同じ ような使い勝手を期待できません。そこで、電話番号と同じような 新しい番号を割り振って、使う側にとっては従来の電話とまったく 同じように扱えるようにしたのです。このIP電話によって、見かけ や使い方は従来の電話ですが、仕組みはインターネットであり、最 近のインターネット接続の最大の特徴となっている、安価な固定料 金での接続、つまり通話が可能になるのです。日本全国、あるいは 全世界中、何時間話しても月額固定一定料金の通話がまもなく実現 することになるでしょう。


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