森井教授のインターネット講座 最新版(2002年10月28日掲載記事)



第221回 無線ICタグ(下)


解説イメージ

バーコードの代わりに、無線ICタグという弱い電波を出して、その 電波の中に、いろいろな情報を書き込んで使うシステムを前回紹介 しました。バーコードでは、高々商品の名前や社名ぐらいしか書き 込めなかったのですが、無線ICタグでは、その何十倍、何百倍もの 情報を書き込むことができるのです。しかもバーコードではできな かった読み込み書き込みが同時にできるのです。たとえば、ある商 品がどこでどのように作られたかを無線ICタグに書き込むことがで きるだけでなく、いつどこの流通業者を経て来たかも記録でき、消 費者が必要な情報を誰でも得ることができるようになるのです。最 近では、高々0.4ミリ角でごく薄く、紙に埋め込むことができる 無線ICチップが開発されています。価格も大量に生産することによ ってバーコードを印刷するに近い価格まで下がる可能性も出てきま した。まだまだいろいろな物品の管理に使われているとは言い難い ですが、アメリカでの同時多発テロ以降、航空機での荷物管理に使 われるようになりました。つまり、旅行者の搭乗券と荷物にペアの 無線ICタグを貼り付け、荷物を預けた旅行者が実際に搭乗している か否かを確認してから、その旅行者の荷物を機内に運び入れるシス テムを導入しているのです。その他、医薬品に無線ICタグをつけて、 同時に服用してはいけない医薬品を自動的に教えたり、特異なアレ ルギー体質の人に、その食材や食品添加物の有無を知らせたりする ような実験が行われようとしています。将来的にはもっと私たちの 身近なところで有効に使われるようになるでしょう。たとえば、生 鮮食品に無線ICタグをつけて、冷蔵庫に入れておくと、冷蔵庫が無 線ICタグと通信して、賞味期限切れや食べ頃時期を冷蔵庫が教えて くれたり、冷蔵庫に入っている食品を基にして、どのような料理を 作ることができるかを教えてくれたりするのです。これで、冷蔵庫 の奥底に、賞味期限が切れた食品が干からびて張り付くことはなく なるでしょう。


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