森井教授のインターネット講座 最新版(2002年12月13日掲載記事)



第224回 ブロードバンドで映画を(上)


解説イメージ

ブロードバンドが手軽に利用できる環境が整いました。ブロードバ ンドの正確な定義はないのですが、インターネットでは、アナログ 電話回線を利用したダイヤルアップ接続に比較して、格段に高速な 通信が可能な環境を指すようです。通常、CATVやADSLを利用した常 時接続の高速なインターネットがその典型です。ブロードバンドの 利用価値はスムーズな動画が扱えるようになったことです。動画が 扱えるようになったことで、二つの大きなサービスが可能になりま した。一つはテレビ電話です。通常のパソコンでは、インターネッ トにつながってさえいれば、カメラを取り付けるだけでテレビ会議 が可能になりました。もう一つは映画が見れるようにまったことで す。しかも小さな画面で、荒い動きしかできないような画像ではな く、少なくともテレビで見るようなスムーズな動きをする動画です。 このような動画はブロードバンドの環境だけでは不可能だったので すが、動画を扱う技術が発達し、最近になって可能になりました。

パソコンの画面で動画を見せようとすると、通常、映画のフィルム と同様に、1秒間に30枚の写真を連続的に映し出せば、人の目には スムーズな動画となって映ります。パソコンの画面では、ピクセル (画素)と呼ばれる素子で小さな点を映します。1枚の写真は、この 点を数多く並べて作るのです。ノートサイズの小さな画面のパソコン でも800x600、つまり48万個の画素で画面いっぱいの1枚の 写真を映します。デジタルカメラで、「200万画素」等と言われる のはこのことです。一つの画素は1600万通り以上の色を出すこと ができます。なぜ1600万色なのかという理由を説明しましょう。 目に見えるすべての色は、光の三原色と言って、赤(Red)、緑(Green)、 青(Blue)の明るさの組み合わせで作られます。一つの画素はそれぞれ の色を0と1の8つの並び、つまり8ビットで表しているのです。8ビ ットでは256通りの組み合わせがあります。それが赤緑青(RGB) と3種類あるので、それぞれを乗じて約1600万通りとなるのです。 1画素で8x3の24ビット必要ですから、上記のパソコン画面で 1枚の写真を表すのに、48万x24で約1000万ビット、つま り約10M(メガ)ビット必要です。動画では1秒間に30枚映さ なければなりませんから、それに30を乗じて、300Mビット、 つまり、小さなテレビ並みの画面で動画を写すためには、300M bpsの情報が送られなければならないのです。bpsとは1秒間 に送られるビット数の単位です。普及しているADSLが高々8Mbps ですから、その40倍近い速さのブロードバンドが必要になります。


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