森井教授のインターネット講座 最新版(2002年12月20日掲載記事)



第225回 ブロードバンドで映画を(下)


解説イメージ

映画の旧作をインターネットで配信するサービスが既に始まってい ます。自宅に居ながらにして、自分の見たい映画を選び、いつでも 見ることが出来るので、非常に便利です。レンタルビデオでは、そ の店まで出向いて、ビデオを借りなければなりませんが、その手間 を省けるのです。しかし前回に説明しましたように、映画のような 画像を送るためには、十分な工夫をしなければ。想像以上に早い速 度のインターネットが必要になります。テレビ放送では容易に映画 のような画像を送れますが、インターネットでは非常に難しいので す。それが可能になったのはADSL等の高速なインターネットが使わ れるようになっただけではなく、画像圧縮技術と呼ばれる効率的な 動画像配信技術が開発されたおかげなのです。

テレビのような画像をインターネットで送ろうとすると、画像のデ ータをそのまま送った場合、ADSLの速度の数十倍の速度のインター ネットが必要になります。もし、画像を送るデータ量が百分の一に なれば、今のADSLでも十分に画像を送ることができます。しかし、 データ量が百分の一になるということは、大部分のデータがなくなる ことであり、通常、ぼやけた画像になるか、ほとんど動きのない画 像になってしまいます。画像圧縮技術とは、画像の質をほとんど落 とすことなく、データの量を百分の一以下にする方法です。原理は さほど難しくはありません。画像の動きのある部分だけを送ったり、 部分的に同じような絵柄は重複して送らないようにするのです。例 えば、草原の中を馬が走っている画像があったとします。草原のほ うは動きがさほど有りません。この場合、草原のほうのデータは 一度送ると、それをずっと用い、動きのある馬の部分だけのデータ を送るのです。また馬の画像でさえ、腹の部分に着目すると、さほ ど細かい模様があるわけではなく、ほとんど単一の色です。この場 合も一つ一つの画素を送るのではなく、ひとつだけ送れば良いので す。さらに現在の技術では、動きの速い部分は人間の目に細かいと ころまで見え難いという、人間の目の性質を利用して、データを少 なく送る方法が用いられています。原理は単純と書きましたが、そ れを実現する技術は非常に難しいものになっています。


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